2009年9月22日火曜日

人肉饅頭三部作

『八仙飯店之人肉饅頭』

@傑作

凶悪殺人鬼ウォンはマージャンに負けた腹いせに八仙飯店の一家を惨殺、店を乗っ取っり死体を饅頭にして売りさばいた。しかし、従業員たちは当然、店長一家の不在を不審に思う、それに気づくや否やウォンは男性従業員を伝票刺しで殺害、続けて女性従業員を強姦した後に、女淫に割り箸の束を叩き込み殺害。やはり饅頭の具にして売りさばく。かれは、饅頭に出来なかった部位を海に捨ててしまった為に警察に逮捕されるが、中々口を割らない。刑事たちは彼を取調室、留置所、病院にてリンチに駆ける事でようやく、一連の凶行を認めるのだが…

残忍な描写ばかりが話題になった作品だが、実際はバイオレンス映画の暴力性と、スプラッター映画の残虐性が同居した凶悪殺人鬼の凄まじい無軌道かつ残虐なる犯行をアンソニー・ウォンが見事に怪演し、場違いな刑事たちのコメディリリーフな演出が加わり、その二つが絶妙なテンポの良さで拮抗し、香港返還前の熱気と不信感が生んだ会心作となっている。グロテスクなのに「見たい」と思わせてしまうあたりは、怖い物見たさエンターテイメントとして見事に昇華させている事は間違いなく、「羊たちの沈黙」路線に乗っけての興行だったが本作でしか見れない物もちゃんと持っている。犯人の人肉を饅頭にする凶行が、変態的なカニバリズムに直結した行動ではなく、死体の処理の為に選んだ最善策と思考しており、本人は人肉を食していない。先述の事件を追う刑事たちの大袈裟過ぎないコントなどは本作の持ち味である。

『八仙飯店之人肉饅頭2』

@凡作
前作から、実に五年後に製作され、全く期待されていなかった事に加えて、特筆する点が特に無く絶望的なまでに知名度の低い作品。
アンソニー・ウォンは、デブで小市民の刑事を演じている。
本作で殺人鬼を演じるのはポーリー・シュン、ブルドックみたいなババァをペンキ撒いた挙句に燃やしたりやりたい放題。 あ、Mの方々、美人さんですよ。
この娘(ファン)が、淫乱で散財家の嫁の尻に敷かれている主人公を誘惑するわけであります。
旦那がファンと外に出た時に惚気て軽はずみで撮ったウエディングドレス店の写真が嫁が帰ってきたら家中に飾られ、いよいよ、修羅場になって、ファンは嫁を殺害。死体を処分するために、旦那は嫁のバラバラ死体を泣く泣くチャーシューに、それでもファンの異常さはとどまる事は無くついに…
ポーリーの目玉をカッと見開いた目をドアップに映される凶行は、所謂ヤンデレの奔りであり、もうちょっと評価されてもおかしくは無いのだが、いかんせんアンソニー・ウォンの狂演には敵わない。
また、宣伝に虚偽が見られ、アンソニー・ウォンとポーリー・シュンが肉を焼くという劇中ではありえない姿が、ビデオのジャケットでも確認でき、そもそも、人肉饅頭ではなく嫁のチャーシューだ。


『八仙飯店之人肉饅頭3』

@駄作
本作は、複数犯を描いておりますが、全員罪が意識に耐え切れず完全犯罪目前で自白してしまうという、ある意味、3作中もっともリアリティがある題材である事意外、特に書くべき点は無く、第一作の功績と前作の変化球を一切踏襲していない代物。つまらないです。そもそも、人肉すら登場しないし。

0 件のコメント: