2009年5月10日日曜日

パンプキンシザーズ

@駄作

『HELLSHING』が好きなら嵌ると勧められたのだが、私はこの漫画、てんで駄目だと思う。

物語は戦災復興を目的に結成されつつも軍部のお飾り扱いを受けている"パンプキンシザーズ”と、彼らをエゴの為に妨害する腐敗した官僚、暴力団との戦いが描かれる。

これだけだと、すごく面白そうな題材なのですが、無意味な悪党の性格描写と、悪党どもへの説教台詞の多さに呆れ果てる。

この作品、一応最後には悪党どもも欲に駆られた哀れな存在として性善説を描こうと試みている。
そのためか、悪党の特徴を描くシーンがあるのだが、恐ろしく退屈。
なにが退屈かって、どの話を読んでもステレオタイプな悪役の独り言ばっかなんだよ。

そして純粋に正義を行おうとしてる主人公たちの姿に青臭さを作者は感じてるのか?
戦闘中にまで悪党へのお説教を開始するのである。しかも、要約している短いセリフに限って、大ゴマで決める。

主人公サイドは魅力的な登場人物が多く、戦災復興に四苦八苦する姿などは応援に値する。
それは見ていて恥ずかしいシーンかも知れない。
しかし意味の無い長ゼリフは彼らの熱い正義心を虚飾に代えかねない愚かな行為だ。

あと、なんか悪そうなおっさんおばちゃんが悪巧みをする描写が随所に挿入されるが、物語の進行とは関連性が余りにも薄い。エヴァンゲリオンの後半のゼーレじみている。
途中、悪そうな連中の被害者である男が主人公たちと戦う羽目になり、いよいよ接触があるのか?と、思いきややはり絡む事は無い。

オールマイティーな作品を作ろうという無駄な努力の産物。生善論を唱えるのならば主人公と絡みのない巨悪の描写は無意味だ。

まあ、ここまで嫌いになったのも筆者自身、人生最短の落胆を感じさせた主人公登場の冒頭2Pに集約されている。

休戦を知らされた主人公は「なぜもっと早く終わらなかった・・・」と、焼け野原と瓦礫を背景に兵士のモノローグ。ほとんど100点の登場シーンである。
誰だって瓦礫の山を築けば、相手が敵でも良心の呵責に押しつぶされそうになる。それは偽善などではない。人間の抱える矛盾というものだ。が、次のページで一瞬で興ざめした。

「俺はいったい明日からなにして生きていけばいい・・・」と、虚ろな目で呟く巨漢。

蛇足だ。そして、なぜ退職後の心配を回りくどく言っているのか?

この後、巨漢は、運命的な出会いでパンプキンシザーズに加入し、身を粉にして新たな戦いに身を投じるのだが、その姿はやはり応援できるものである。
でも、やっぱり登場シーンと同じく、無意味で説得力にかけるセリフの応酬が全てを台無しにしている。物語からリアリティを奪っている。

とはいえ、バイオレントな戦闘シーンは特筆に価する。
お前ら、自分を信じてもうちょっと黙って戦え!

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