『黒い太陽731』
@駄作
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8939801
ニコニコ動画はGOOGLEのブログサービスに対応していない事が発覚。
ご鑑賞いただくにはアカウントが必要なのであしからず。
*なんかネット右翼批判な動画になってしまった。
*製作に時間をかけすぎた。
*「ローゼン閣下」と「ゴルゴ13閣下」。選挙では後者の方が少なくとも有利だったろうに。
*宇宙人「リベラルが思想が麻薬とはよく言ったものだ」
*麻…いや、川中島「暗い…開票モニターが真っ暗だ・・・」
*麻…いや、川中島「卑しい電気紙芝居風情に俺の画像を使うなど無礼なクソバエが!」
11/30追記
*思い出してみれば、今回の動画製作の切欠は、ネット右翼がウザイのと、左翼気取がウザイと思って作り始めたのだ、政治色が濃くなったのは当然だ。だが、これはこれでいいのだ。出来の良し悪しは視聴者の皆様に委ねて俺は次回作を作ればよいのだ。
2009年11月28日土曜日
2009年11月14日土曜日
クール・ワールド
@カルト的要素を備えつつも凡作。92年の時点で“萌え”を否定した狂気の予言録
1945年、大戦から帰還したフランク(ブラッド・ピット)は交通事故で母を失い、自身もアニメの世界にワープしてしまう(以後、母親の死と1945年は本筋に関わらない)
そして92年、ジャック(ガブリエル・バーン)は獄中にて「クール・ワールド」というディストピアコミックを執筆し、 カルト的な地位を得ていた。(しかし、5分ぐらいして出所する。罪状は本編で1度触れられるだけでやっぱり本筋に関わらない)
しかし、彼は出所前から「クール・ワールド」の世界に引き込まれるようになっていた。そして、いよいよ、夢ではなく実際に「クール・ワールド」を行き来していると悟ったジャック。
自身の創作した魔性の美女ホリーに萌えているところに「漫画と人間がセックスすると漫画が人間になっちまう!」とこの世界の住人と化していたフランクが忠告を加える。
しかし、ホリーは現実世界に執拗な憧れをいだきジャックはやがて誘われるがまま・・・
レビューしてみるとひたすら、ややこしい作品である。
安っぽいアニメと実写の混合、行き当たりばったりで余計な設定が多く説明不足で洗練されていないストーリー、豪華俳優陣、あまりにシニカルでゲテモノと形容できるアニメキャラ、などもはや挙句に果てが無い。
問題なのはこれらが、噛み合ってすらいない内に強烈な個性を発散させるに到る。
ブラピに到っては「俺はいったい何の映画に出ているんだろう?」というストレスが表情に常ににじみ出てしまっている。アニメは後で合成されるため、撮影中は常に不安だったのか。
そもそも役柄が1945年に不慮の事故でアニメ世界の刑事になってしまった童貞の帰還兵だ。こんなわけのわからない役はない。一応、戸惑う主人公にアニメの世界のルールを解説する役になるが、彼の説明といえば
「漫画と人間がセックスすると漫画が人間になっちまう!」
そのりくつはおかしい。
「ペンは危険だ!吸い込まれてしまう!」
ペンで武器を描くとう発想は無かった、インクがペンの中に吸い込まれるのだ。しかし、吸い込まれるだけで後で普通に出てくる事が可能。ブラピは何を慌てているのだろうか?
「火炎電球を奪わせるな。」
火炎電球、どう聞いても英語では「アニメと現実の境目を塞ぐ“スパイク(栓)”」と聞こえるのだが、この謎の翻訳により意味不明なものとなっている。
観客が知りたい「1945年当時から存在するアニメの世界をどうやってガブリエル・バーンが獄中で再現できたの?」
この点は「お前がこの漫画を作ったと思うな!」のセリフで一蹴し作中で一切触れなくなる。
彼はラストで、現実世界で童貞のまま息を引き取ったブラピがアニメとして転生し、アニメの世界で筆下ろしをする。吹き替えをするブラピの声は妙に元気溌剌であり、ヤケクソの境地に達したものと思われる。
しかし、かように不安定なブラピ、なぜかカッコいい。男の目から見ても妙にカッコよく、主人公を演じるガブリエルは二次元の美少女(しかも自分の創作)に翻弄されるピエロとなっている。
ホリーはエロイ。「ロジャーラビット」のジェシカラビットの極端すぎるセクシーラインをバランスよく整えて露出度アップして色情狂にしてせっせっせよりも過激な事をしてくれるのである。
だが、問題が二つ有る。
一つは上記の通り本作の漫画キャラは人間とセックスすると人間になる。
で、人間になったホリーを演じるのは
キム・ベイジンガーさんじゅうきゅうさいなのだ。
キム・ベイジンガー三十九歳なのだ。
キム・ベイジンガー39歳なのだ。
キム・ベイシンガー美人だけどさ・・・・・・さすがに老けて見える。
ホリーは多分20代だ、もし仮に29歳だとしよう、これは20代、もしくは30代と形容できる。
しかし、39歳は40代としか形容できないのが男の掟なのだ。これを破ると死ぬのだ。
つまりキムは20代のエロエロなビッチを、40歳にもなって演じている事になる。頼むから仕事えらべよ!
いつまでジャック・ニコルソンみたいな面した究極のキチガイピエロに至高のキチガイ求愛をされる美女の地位にいてるつもりなのかと。
もう一つ。彼女は“現実”に妙に執着する。
なんというか、このリアルに執着する二次元嫁とそれに追従する空想好きの主人公の図が、男性の女性に対して潜在的に恐れている事を顕著に示している気がしてならない。
2ちゃんねるでよく「これはただの絵だ。」とか「それは人間をタンパク質だ言ってるのと同じなわけよ。」と言われる昨今だが、本作の場合は「おいおい、それは女だぜ?」と根源的かつシンプルな回答を92年の時点で述べている。
「萌え萌えしてる相手って所詮女じゃん」っていう絶望的(?)なテーマが主題となっている。
しかし、物語はブラビといいマッチョなアメコミヒーロとなったガブリエルといい“現実”の否定で締めくくられるのだ。
「どんな美人でも女なんてめんどくせーよ!アニメ見ようぜ!アニメ!」
どんだけ狂ってるんだよ!
萌えキャラどもに無防備すぎるアキバ系の兄ちゃんたちに必要なのは、ホリーのような女の嫌な所に特化したエロい姉ちゃんなのかもしれない。うん。
1945年、大戦から帰還したフランク(ブラッド・ピット)は交通事故で母を失い、自身もアニメの世界にワープしてしまう(以後、母親の死と1945年は本筋に関わらない)
そして92年、ジャック(ガブリエル・バーン)は獄中にて「クール・ワールド」というディストピアコミックを執筆し、 カルト的な地位を得ていた。(しかし、5分ぐらいして出所する。罪状は本編で1度触れられるだけでやっぱり本筋に関わらない)
しかし、彼は出所前から「クール・ワールド」の世界に引き込まれるようになっていた。そして、いよいよ、夢ではなく実際に「クール・ワールド」を行き来していると悟ったジャック。
自身の創作した魔性の美女ホリーに萌えているところに「漫画と人間がセックスすると漫画が人間になっちまう!」とこの世界の住人と化していたフランクが忠告を加える。
しかし、ホリーは現実世界に執拗な憧れをいだきジャックはやがて誘われるがまま・・・
レビューしてみるとひたすら、ややこしい作品である。
安っぽいアニメと実写の混合、行き当たりばったりで余計な設定が多く説明不足で洗練されていないストーリー、豪華俳優陣、あまりにシニカルでゲテモノと形容できるアニメキャラ、などもはや挙句に果てが無い。
問題なのはこれらが、噛み合ってすらいない内に強烈な個性を発散させるに到る。
ブラピに到っては「俺はいったい何の映画に出ているんだろう?」というストレスが表情に常ににじみ出てしまっている。アニメは後で合成されるため、撮影中は常に不安だったのか。
そもそも役柄が1945年に不慮の事故でアニメ世界の刑事になってしまった童貞の帰還兵だ。こんなわけのわからない役はない。一応、戸惑う主人公にアニメの世界のルールを解説する役になるが、彼の説明といえば
「漫画と人間がセックスすると漫画が人間になっちまう!」
そのりくつはおかしい。
「ペンは危険だ!吸い込まれてしまう!」
ペンで武器を描くとう発想は無かった、インクがペンの中に吸い込まれるのだ。しかし、吸い込まれるだけで後で普通に出てくる事が可能。ブラピは何を慌てているのだろうか?
「火炎電球を奪わせるな。」
火炎電球、どう聞いても英語では「アニメと現実の境目を塞ぐ“スパイク(栓)”」と聞こえるのだが、この謎の翻訳により意味不明なものとなっている。
観客が知りたい「1945年当時から存在するアニメの世界をどうやってガブリエル・バーンが獄中で再現できたの?」
この点は「お前がこの漫画を作ったと思うな!」のセリフで一蹴し作中で一切触れなくなる。
彼はラストで、現実世界で童貞のまま息を引き取ったブラピがアニメとして転生し、アニメの世界で筆下ろしをする。吹き替えをするブラピの声は妙に元気溌剌であり、ヤケクソの境地に達したものと思われる。
しかし、かように不安定なブラピ、なぜかカッコいい。男の目から見ても妙にカッコよく、主人公を演じるガブリエルは二次元の美少女(しかも自分の創作)に翻弄されるピエロとなっている。
ホリーはエロイ。「ロジャーラビット」のジェシカラビットの極端すぎるセクシーラインをバランスよく整えて露出度アップして色情狂にしてせっせっせよりも過激な事をしてくれるのである。
だが、問題が二つ有る。
一つは上記の通り本作の漫画キャラは人間とセックスすると人間になる。
で、人間になったホリーを演じるのは
キム・ベイジンガーさんじゅうきゅうさいなのだ。
キム・ベイジンガー三十九歳なのだ。
キム・ベイジンガー39歳なのだ。
キム・ベイシンガー美人だけどさ・・・・・・さすがに老けて見える。
ホリーは多分20代だ、もし仮に29歳だとしよう、これは20代、もしくは30代と形容できる。
しかし、39歳は40代としか形容できないのが男の掟なのだ。これを破ると死ぬのだ。
つまりキムは20代のエロエロなビッチを、40歳にもなって演じている事になる。頼むから仕事えらべよ!
いつまでジャック・ニコルソンみたいな面した究極のキチガイピエロに至高のキチガイ求愛をされる美女の地位にいてるつもりなのかと。
もう一つ。彼女は“現実”に妙に執着する。
なんというか、このリアルに執着する二次元嫁とそれに追従する空想好きの主人公の図が、男性の女性に対して潜在的に恐れている事を顕著に示している気がしてならない。
2ちゃんねるでよく「これはただの絵だ。」とか「それは人間をタンパク質だ言ってるのと同じなわけよ。」と言われる昨今だが、本作の場合は「おいおい、それは女だぜ?」と根源的かつシンプルな回答を92年の時点で述べている。
「萌え萌えしてる相手って所詮女じゃん」っていう絶望的(?)なテーマが主題となっている。
しかし、物語はブラビといいマッチョなアメコミヒーロとなったガブリエルといい“現実”の否定で締めくくられるのだ。
「どんな美人でも女なんてめんどくせーよ!アニメ見ようぜ!アニメ!」
どんだけ狂ってるんだよ!
萌えキャラどもに無防備すぎるアキバ系の兄ちゃんたちに必要なのは、ホリーのような女の嫌な所に特化したエロい姉ちゃんなのかもしれない。うん。
2009年11月3日火曜日
超遠未来バイオレンス=悪意の狂乱= 3「帰還、そして・・・」(途中)
3 帰還、そして・・・
月は雲に覆われた。荒野には遮られぬ風が冷たく吹く。
ジオ、エリー、ブルースの3人は、あれから1時間近く、ビュシュー遺跡の外壁とつながった通路に居座っていた。ブルースの腕時計は19時を示している。
彼らがいる高さは4階相当、その上、外壁には、足場も無い上に、付着した土は思いのほか脆く、降りることは出来なかった
体力面でも、安全面でも、これ以上のダンジョン探索は危険であったし、なにより入手したゾプチックを戦いで失う恐れがあった。
たとえ、腐りきったサンゲとの戦いであってもだ。
彼らは、外壁でひたすら、遺跡の側に人が通るのを待っていた。見知らぬ人の善意を頼るほかは無かった。
ジオとエリーは、救難信号の発生装置を購入さえしていた。だが、これは屋外で使用すれば、
信号をキャッチした空族がハイエナの如く襲い掛かる可能性がある。
まして、ゾプチックを入手した3人は空族の格好の的である。
ジオとエリーがコレを購入した意図も、万に一つダンジョン内ではぐれた時の為の用心であった。
だが、ようやく、遺跡の前をトラックが通った。ジオとエリーはライトと、ブルースを加えて大声で合図を送った。
声だけではない、見えていようがいまいが、身振り手振り加えて、馬鹿騒ぎしてるように。
しかし、トラックは虚しく通り過ぎる。
「なんで無視するんじゃぁぁ!!」ブルースは後ろで暴れるような地団駄を踏む。
「車の形覚えたからね!」エリーは憎ったらしく言った。
「糞、もう少し辛抱するか・・・・・・」一人、落ち着いた様子のジオは、壁にもたれ掛ってポケットから肉の缶詰と、十得プライヤーを取り出した。
「あんた頭おかしいんじゃないの?こんな時まで肉をしゃぶるなんて!」エリーは、ジオの変人じみたこの缶詰への偏愛ぶりにエリーはうんざりしている。
ジオが気に入っているこの四角い肉詰めの缶は、豚やネズミの屑肉に塩を加え、プレスされた物で決して上等な物ではないが、ジオは、コレが売っている町であれば、
一日に一缶空ける。そもそも、ジオはこの缶詰をポケットに常備しているのだ、現に彼の十得プライヤーの缶切りの歯は丸みを帯びている。
「ブルース、食わないか?うるせえのは無視して」ジオはエリーに顔を合わせず、ブルースに尋ねた。
「ああ、腹もへってきた。」
「まったく、何時買ったのよ・・・・・・」
グチグチ言うエリーの横で、ジオは十得プライヤーの缶きりで缶を開ける。
続いてプライヤーで缶を少し広げて肉との間に隙間を作り、肉を缶から3cmほど出すと、
十得プライヤーに付いているナイフで、缶からはみ出でた肉をスライスしてブルースに渡した。
「これ久しぶり食うけど、毎日食ってて塩辛くないのか?」
「それがいい。」
男二人は、300gほどの肉をすぐに食べつくした。
「お前なんでこんな夜にもサングラスしてるんだ?」
「かっこいいだろ?」
「馬鹿じゃないのか?」
「そう言ってるがお前の彼女も昨日グラサンかけてたぞ?」
「……あれは馬鹿の標本だ」
とは言いつつもジオは内心このままサングラスは付けていてほしいと思っている。エリーの瞳の色の事で騒がれたくないからだ。
このブルースという男、とても信心深いようにはみえないのだが、あの荒んだネディアにも十字架を掲げる教会があった事をジオは思い出す。
当のエリーは、無視された挙句に馬鹿呼ばわりされ、完全に臍を曲げている。遺跡の外に脚を出してブラブラさせている。
いつもの彼女ならば、幾らかの仕返しをする所だが、やはり疲れ果て仕返しの方法も思いつかなかった。
それから30分後、未だ機嫌を直さないエリーを他所に、ジオはブルースにPDAを良く見せて貰っていた。
そこに、先ほど遺跡の前を通過したトラックが、はしごを持って戻ってきたのだ。
「やった!」エリーが第一声を上げる。
ジオとブルースも、遺跡の外に身を乗り出すように外の様子を見る。
トラックは塗装もそこそこに剥げたもので、相当年季が入ってる。
ハシゴは一本では足りない為か、荷台に何本か乗せており、それらを固定するためのロープも積まれている。
トラックが3人の眼下に停まると、野球帽を被り、無精ひげを生やした小汚い中年の男がトラックの窓から顔を出す。
「お客さん、一人3万zだからね。どちらまで?」運転手は図々しくも、大金を要求する。
「えん!客だと?金を取る気か?おい!」ジオが声を荒げて言った。
「帰るよ。」運転手はエンジンを吹かす。
「だぁあくそ!」ブルースはジオの横で悔しそうに言う。
「払うのか?払わないのか?」運転手は卑しい笑みを見せながら、
ジオもブルースも、悔しさを顔に滲ませていた。
しかし、エリーは飄々とした顔をして男を呼び止めるのだった。
「このデカイ人(ブルース)の家までお願い。案内するわ~。」
「おいエリー!」ジオは巻き舌気味にエリーに言った。
「あいよ。」
そう言うと運転手は、トラックから降りて、荷台から梯子を下ろし、作業灯を照らして即席の長梯子を組み立て始めた。
「3人だと9万zもだ!本当に馬鹿なのか?」ブルースは声が裏返りそうになりながらエリーに言う。
「ジオ、ブルース、先に降りて。」エリーはブルースの質問に答えようとしない。
それどころか、不敵な微笑みを顔に隠していた。
「……何考えてるんだ?」ジオはエリーが何かを企んでいると感じていた。
「教えないわよヴァーカ!」仕返しとばかりにエリーがジオに言った。
ブルースは、エリーが何も考えていないとも思い、不満そうな表情を見せていた。
「ジオ。あと、これ。」エリーはゾプチックをジオに差し出した。
「まかせたからね。」
「……」ジオはロープでゾプチック背中に巻きつけた。
そうして、梯子三本から出来上がった長梯子が彼らの目の前に掛った。
「はやく降りて来い。」トラックの運転手は偉そうに急かす。が、念の為にと、梯子の根元を支えてくれてはいた。
また、わざわざ作業灯で梯子を照らしてくれた。しかし、これは3人が妙な真似をしないようにと用心の為であった。
ブルース、さら先に、男二人組みが渋々と梯子を降りる。エリーはまだ通路に留まって居た。
梯子は、思いの他しっかりと紐で結ばれており、思ったほど揺れる事は無かった。
ブルースは梯子を下りながらジオに言った。
「しかしまぁ、これだけのゾプチックだ、9万の損失なんか目じゃないよな。なぁジオ?」
しかし、ジオにブルースの空元気の言葉は耳に入らない。
呆れた事にジオは、梯子の前に立っているエリーのスカートの中を覗こうとしていたのだ。
(もう少し……もう少し……)と、ジオは梯子を降りながら、首と、体を反らしていく。
「お、おい!重心を後ろにやるなひっくり返る!」ブルースは慌ててジオに注意を促す。
(見える!!)と、ジオが思った矢先、エリーは梯子の前から少し後退した。
「ッチ……」スカートが視界から消えたジオは舌打ちをした。
「なにやってんだこの馬鹿!気をつけろよ!」ブルースがジオのカカトを叩く。
エリーはというと、ジオが、自分のスカート中を覗こうとしていたことなど見透かしてワザと梯子の側に立っていたのだ。
「きゃはははは、かわいい奴。」
その後すぐ、ジオとブルースは梯子を降りるとトラックの荷台に乗り込もうとした。
「おいおい、汚い尻乗せるのは金払ってからだ。」トラックの運転手が、2人言った。
「……ほらよ。今もってるのはコレだけだ」ジオは財布から3万zを男に手渡した。
運転手は金を数えると、満足そうに二人をトラックの荷台に乗せた。
「お嬢ちゃん、早くしな。」運転手は、再び梯子を支える。
だが、エリーは黙って、男を見下ろしている。
「お嬢ちゃん、どうした?」
「その……見ないでね。」エリーが声を発した。
「はい?」
「もう……イジワルしないでぇ~。」
「ああ、そうかそうか。ごめんね、目つぶっとくよ。」運転手は梯子を再び支える、薄目を開けてだ。
エリーはようやく梯子を降りだした。
「あの女、色仕掛けで安くするつもりか?」ブルースは隣に座るジオに言った。
「・・・・・・」ジオは、梯子を支えているトラックの運転手を睨んでいる。
トラックの運転手はエリーのスカートの中を覗き見ながら白々しく言う。
「もういいかい?」
「まだよ~」エリーはゆっくりと、梯子を降りていく。
「もういいかーい?」男は、ゆっくりと降りていくエリーの、影に包まれたスカートの中が、ライトに照らされていく様をじっくりと楽しんでいる。
「まだ。」
エリーが梯子中段付近に到達した時、トラックの運転手は再び「まだか?」と聞いた。
「もう少しよ~」
「そうかい、そうかい。」
やがて、エリーは梯子の三分の二を降り切ると、徐々に、エリーのスカートの中に光が当たろうとしていた、トラックの運転手の目は釘付けになっていた。
「まだかい?」
プロテクターのベルトが、エリーの白い腿に食い込んで見える。もう少し降りれば、エリーの下着は露になるだろう。
だが、エリーは梯子に掴まっている途中で、突如、「もういいよ!」と叫んだ。
トラックの運転手は驚いて薄目にしていた目を見開いた。エリーは間違いなくまだ梯子につかまっている。
故に「え?」と声を漏らしたその瞬間だ、トラックの運転手の後頭部が金属棒で叩かれた。
「修羅ぁぁ!」ジオは、トラックの持ち主がエリーの下半身を凝視していた隙に、背後に近づいてトラックの持ち主に金属棒の一撃をお見舞いしたのだ。
「ぬぁぁぁあああ!!」運転手はうめき声を上げながら、地面に崩れた。
「キャーハハハハハハ!!」
エリーは両腕で梯子にしっかりと掴まり、自ら梯子を倒し、トラックの荷台に直接着地した。
エリーの目の前でブルースは目を点にしていた。
「な、なにしてんだおい!!」
降りてきたエリーにも、衝撃で揺れる荷台にもそうだが、止める間もなく運転手を攻撃したジオにも、ブルースはひたすら仰天するばかりであった。
「車の運転できるか!?」ジオは運転手のズボンのポケットを探りながら、すっかり混乱しているブルースに言った。
「あ、ああ、解った!」ブルースはこう答え、トラックの運転席に移った。
ジオは運転手から3万zを奪い返して荷台に駆け足でもどる。
荷台で待っていたエリーが、戻ってきたジオの両肩に腕を回した。
「ナーイス!ご褒美にチューしちゃう!!」
「馬鹿!やめろ!!」ジオはエリーを突き放す。
「おい!車のカギは?」ブルースは運転席から荷台の二人に聞く。
「カギだと?」
「私とってくる!」
エリーは荷台から飛び降りて、気絶しているトラックの持ち主の体を探る。
エリーはそれれしき物をブルースに見せていく。
「これ?」
「いや、それはたぶん家のだ。」
「じゃあこれ?」
「それだ!」
エリーがその場を去ろうと駆け出したその時、意識を取り戻したトラックの持ち主がエリーの右足をつかむ。
「このアバズレ~~!!」
「あああ!エリー!」ブルースが運転席から叫ぶように言った。
だが、エリーは一切の躊躇なく左足で運転手の顔に蹴りを入れる。彼が手の力を緩めるまで何度も。
男が痛みに耐えかねてエリーの足首から手を離した。しかし、エリーはその後も延々と男を蹴りまくる。
「あんた如きが私から金を取るなんて身の程知らずもいい所よ!この無職童貞野郎がぁぁぁ!!!」
「ヒィ!ヒィ!ヒギィィィィィィ!!!」痛みの余り、運転手は目から涙を流しながら情けの無い声を上げる。
「あああ!おっさん!」ブルースが叫ぶように言った。
「おい!エリーいい加減、もどってこい!」ジオが、暴走するエリーに言った。
「え~」エリーは残念そうに言った。
「え~、じゃねぇ!早く!」
エリーは助手席に駆け込んで、ブルースに鍵を渡した。
すぐさまブルースはエンジンをかけ、トラックを動かす。
「ちくしょう!!」動き出すトラックを眼で追うトラックの持ち主。
エリーは、窓から顔を出してサングラスを外してトラックの持ち主に、自身の黄金眼を見せつけた。
「うう……」己をあざ笑う悪魔の目に、トラックの持ち主は言葉を失った。
「キャハハハハハハハハハハ!!」エリーは高笑いを上げる。
だが、エリーの高笑いが止まった。サングラスを落としてしまったのだ。
しかし、夜の上にブルースはサングラスをしてる。しばらくは問題ない。
「しっかし、本当にエゲツないな~お前ら。」と言いながら、ブルースはあっさりとサングラスを外してしまった。
「どうした!突然サングラス外して!」荷台からジオが怒鳴るように言った。
「いや、運転するには危ないじゃん。なに怒鳴ってる?」ブルースはサングラスをダッシュボードに置いた。
「なぁエリー……あ!」ブルースはエリーに話かけた時、エリーの眼を見てしまった。
「ど、どうしたんだその眼。」ブルースはトラックを運転しながらエリーに聞いた。
「……生まれつきなの。」
「……へぇ~。不思議なもんだな~。」
「怖くないの?」
「生憎というか丁度というか、おれは信仰心というものが生まれつき皆無でね。ただ世間一般の悪魔象とオーバーラップし過ぎてびっくりしただけだ。」
「……カッコいいじゃねぇか。」ジオはほっと胸を撫で下ろした。
「言われるまでもない。」
ブルースはエリーの虹彩の事を深く気にする様子は無かった。ジオとエリーは、それが、とても、とても嬉しく思えた。
トラックはネディアの街に向けて荒野を走る。
「で、どうする?」ブルースが仕切りなおすように2人に問う。
「とりあえず俺らが泊まってるモーテルに行く。ゾプチックをそこに置いた後、トラックを適当に隠しに行く。」
「そうか、じゃあ今日は俺も泊るか。」
「えー?どうして?」と、エリー。
「ディフレクター2人に任せたら持ってかれそうだ。」
「そんな理由で愛の巣に入ってくるの?」
「ブルース、こいつは無視しろ。解った、お前の言うとおりだ、今晩は一緒に居よう。その代わり、酒を買ってきてくれないか?」
「解った買ってくる。」
「ねぇ、あんたはいくつ?」エリーがブルースに問う。
「20。ちょっとは敬語使えよ~。」
「ところで、その・・・アゴ大丈夫?」エリーはビュシュー遺跡で誤って蹴ったブルースの顎を心配していた。
「ああ、そういえばもう殆ど痛くないわ。」
「んもぅ!ジオ!あんた何が、骨にひびが入ってる。よ!」心配の元になったジオのデタラメな診断に憤慨した。
歓楽街の活気が、疲れ果てた3人の静寂を吹き飛ばす。
ブルースは、ジオとエリーを車に乗せて、昨日おとずれた行き着けの酒場で、酒を買いに来た。
ついでに、財布を返してもらう事に。
酒場にも昨日と同じく活気があった。
ブルースは酒を買うだけでなく、カウンターの前をウロウロしながら、いちいちポーズを変えて、昨夜から今日にかけての冒険を自慢していた。
表で待たせているジオとエリーの活躍を省略して。
「・・・っと言う訳でついに俺もゾプチックを手に入れたに到るわけよ。っと言うわけオヤジ、約束通り酒をおごらせてもらうぞ。持ち帰りで。」
「いや、マスターはそんな約束してないし、おごってもらうのに持ち帰るしヤリタイ放題だな君は。」女性店員が、呆れて聞いている店主の横で突っ込んだ。
「じゃあビールを瓶に詰めて6本と、ジンを一瓶を売ってくれ。」ブルースはカウンターの奥の棚を指差していった。
そこに、ブルースの背後から、妙に凄んだ男が近づいて来た。
「おい、兄ぃちゃん。えらく羽振がいいじゃねぇいか。」男はブルースの肩を叩いて言った。
「なんだおっさん、あんたはえらく機嫌が悪そうだな。」ブルースは振り向いて一言こう返すと、再び男に背を向けて酒を買うのを続けた。
「俺は神能会の木戸原だ。昨日、俺の兄弟を可愛がってくれたそうじゃねぇか。」
「ああ、あの3人なら……いいや、弱い奴のことはいちいち覚えていない。」ブルースは男に背中を向けたまま答えた。
「お前絶対覚えてるだろ!馬鹿にしやがって!」
男の手に握られたリボルバーが、ブルースの胃の裏を捉えた。
「え……お前、銃?」
「ただの銃じゃねぇ、お前の胃袋を狙っているのはよ、青酸カリを塗りたくった実弾銃だ。いくらお前がタフで、一発じゃ倒れなくても、これ食らったら結局死ぬぜ。」
「なんて物騒な真似しやがるんだ。」
異変に気が付いた店内はすっかりと静まり返ってしまった。
だが、ブルースは飄々としており、女性店員に到ってはブルースに頼まれた酒瓶を黙々と用意している。
「ついてこい!」
「弾の出ない銃で着いて行く奴はいないよ。」
「何!!?」
暴漢はハッと、手元を見た。握っている銃は、引き金に掛かった指を擦れ擦れに、トリガーガード、シリンダー、フレームが真っ直ぐに焼き切られていた。
切断面は鮮紅色を帯びる。銃身などは床に落ちていた。
ジオとエリーは中での揉め事など知らずにブルースが戻ってくるのを待っていた。
「遅ぇなあ、なにやってんだ?」
「自慢ついでにボロでも出してるんじゃないの?」
だらだらと喋るジオとエリーに元に、「うわぁぁぁぁぁ!」と、男の低い悲鳴が酒場から響く。
ジオとエリーがそれを聞くやいなや、酒場から、全身に刺青を刺した素っ裸の男が走り出ていった。ブルースを襲った木戸原である。
ジオとエリーは声そろえて「ええ?」と唸った。
続いてブルースが酒の入った紙袋を抱えて店から出てきた。
「まったく、粋なモンモン隙間無く彫ってるわりにゃ隙が多すぎるってんだ」と、ブルースが車の運転席に戻る。
「お前がやったのか?」ジオがブルースに聞いた。
「ああ、昨日の3人組の敵討ちに来たらしいが、ビームブレードを使って服だけ切り飛ばしてやった。ベタな手だがな。」
「んな馬鹿な!」
「もしかしてホモ?」エリーは何気なく聞いた。
「いやいや!誤解!誤解!」
その後、3人は真っ直ぐモーテルに向かい、間もなく着いた。
手に入れたゾプチックを部屋に運び込むと、3人は装備を解いて、床に置き、ジオとエリーは各々のベッドの上で脱力し、ブルースは部屋のソファーに腰をかけた。
「ふぅ・・・やっとこの暑苦しいブーツから開放される。」
ジオは、黒いブーツの紐を緩める。
「つーかれたー。おなか減ったぁ。」エリーはベッドでうつ伏せになっている。
「そうだな、ピザでも頼むか。」エリーの独り言に答えるようにブルースが言った。
「ぴざ?」不思議そうに切り返すエリー。ジオとエリーはピザを知らない。
「ピザもしらねぇのか?世にもあんまりな田舎に生まれたもんだな。えー、そこの宿の案内にピザ屋の電話番号とかチラシがないか?」
ジオがベッドの横のエンドテーブルから、チラシの類をブルースに渡す。
ブルースが品物を決める『チーズツイストベーシックLL』。ピザを知らない二人にオーダーを伺っても無駄だろうと、ブルースは
すぐに部屋に備えてある電話で注文を済ませた。
「よし、これで30分後にはチーズたっぷりのピザが届くはずだ。」
「美味いのか?」ジオは意味も無く聞いた。
「まずいものは注文しないさ。」
「じゃあ、私お風呂に入ってくる」エリーはピザが届く前にシャワールームへ向かった。
ジオはベッドから立ち上がって紙袋の中に入っているビールと、部屋に備えてあるコップを取る。
ブルースはテレビのリモコンを探し始める。
ブルースがリモコンを探していると、青く細い糸のような物を、エリーの枕の上で見つけた。
ブルースはそれを拾い上げまじまじと見つめる。
「おい、エリーは髪の毛も青いのか?」
「えん?」ジオはビールを、コップに注いでいた。
「いや、その、エリーは眼も金色だが……」ブルースは言葉を詰まらせる。
「……ああ、生まれつきだ。おかげで村八分だったよ。」ジオの声が沈んだ。普段よりも声はしわがれて聞こえる。
「お前たちが、故郷を離れた本当の理由はそれなのか?」ブルースはシャワーを浴びるエリーに聞こえない程度の声で聞いた。
「逃げ出してきた訳じゃないがな。あいつと、初めて会ったのはお互い九つの頃だった、その頃には、自分の面を見てビビル大人を笑ってた。
色々と不便だが、あいつ自身は、下手すりゃ俺以上に自分の事を気にしちゃいねえな。俺が言わなきゃ髪だってそのままだろう。」
「スッゲー鮮明なビジョンが浮かぶわ。彼女らしいよ。」
「いいさ。髪は染めりゃ終いだ。目はサングラスなり、カラーコンタクト入れるなりすりゃいい。」
「たしかに、デッドラインでも、キリシタリアは浸透した宗教だ。ただ、狂信的な信者は少ないが、それでも偏見の眼は恐ろしい。」
「ただ……できれば、髪も、眼も、あいつの好きなようにさせてやりたい。俺に気を使って染めてるんだろうからな。」
ジオがコップに注いだビールからは、泡が消えていた。
***
「ジオ~一緒に入るぅ?」シャワールームからエリーの声が聞こえる。
「一人でヤッてろ馬鹿が。」ジオは口汚く、罵るように返した。
「なーんて。もう上がってんのよ。」
エリーはそう言うと、この安モーテルのボロボロのバスローブを羽織って出てきた。
「オメェ服ぐらい着ろ。客もいんだぞ。」
ブルースは眼のやり場に困りながら、ふとTVのリモコンの事を思い出して再び探し始めた。
「だってもうあんなダサい格好耐えられないわよ。明日服を一緒あんたのも買いに行くわよ。」エリーはそう言いながらジオの隣に座った。
「俺はいい。」
「駄目。買え。」
二人が話している間にブルースは、リモコンを探すのは諦め、直接TVの電源を入れた。
「これ、エイガってやつ?」エリーがTV画面に反応を示す。ジオもTVに目を向ける。
「ああ、多分ドラマではないな。ま、これでピザ来るまで退屈はしないさね。」ブルースは再びソファーに腰掛ける
TV画面からは、どこかの都会で映画を見終えた3人の親子が映っている。
『お父さん!お母さん!』
親子は強盗に襲われ、両親は凶弾に倒れた。
『小僧、月夜に悪魔と踊った事はあるか?』
暴漢は、少年に銃口を向け、引きつったような笑いを見せる。
「なんのこっちゃ訳が解らん。途中で見るもんじゃねえな」と、ブルースは言いながらジオのTV番組への反応を伺う。
だがTVを見たジオの様子は明らかに変だった。額に汗を溜め、TVから目を逸らし、俯いて、目をしっかりと閉じていた。
「どうした?大丈夫か?凄い汗だぞ!?」
エリーは急いでTVの電源を切った。
「大丈夫?」エリーはジオの両手でその頬を包んで言った。
「ああ……大丈夫だよエリー……疲れただけだ、外の風に当たってくる。」蒼白とした顔でジオは部屋から出て行った。
「大丈夫じゃないぞあれは……」部屋の戸が閉じてからブルースは言った。
「……多分、今日色々とあったから疲れてるのよ」
ブルースはエリーが隠し事をしていると感じる。恐らくは、ジオの両親は映画のように殺されていて、それをエリーにだけ打ち明けているのではないかと。
ブルースが少しの間の沈黙を空けて切り出す。
「エリー……ジオは、両親を亡くしているのか?」
「……変な事は聞かないでちょうだい。」エリーはブルースを睨む。
「怒るか。すまん。ただ、そうだったら、TVと合点がいくかな、って。」
「さっきの話、全部聞こえていたよ。」
「……」ブルースは沈黙で答えた。
「いいのよ。あいつは、話しても私が傷つかないように話してくれるわ。それに私自身、あいつの言う通り、この眼と、本当の髪の色に脅える人は心底滑稽に見えるわ。
そして、どこまでも脅えさせて苦しめてやりたい。でも、あいつは弱いの。あんなに強いのに、自分の過去にどうしても誇りを持てないの。本当に悲しいことだらけで。」
「……俺が悪かった。すまない。会ってから24時間ちょっとしか経ってない人間が軽々しく、人の過去に入ろうなどと……」
「……もういいのよ。」エリーは首を横に振りながら言った。
月は雲に覆われた。荒野には遮られぬ風が冷たく吹く。
ジオ、エリー、ブルースの3人は、あれから1時間近く、ビュシュー遺跡の外壁とつながった通路に居座っていた。ブルースの腕時計は19時を示している。
彼らがいる高さは4階相当、その上、外壁には、足場も無い上に、付着した土は思いのほか脆く、降りることは出来なかった
体力面でも、安全面でも、これ以上のダンジョン探索は危険であったし、なにより入手したゾプチックを戦いで失う恐れがあった。
たとえ、腐りきったサンゲとの戦いであってもだ。
彼らは、外壁でひたすら、遺跡の側に人が通るのを待っていた。見知らぬ人の善意を頼るほかは無かった。
ジオとエリーは、救難信号の発生装置を購入さえしていた。だが、これは屋外で使用すれば、
信号をキャッチした空族がハイエナの如く襲い掛かる可能性がある。
まして、ゾプチックを入手した3人は空族の格好の的である。
ジオとエリーがコレを購入した意図も、万に一つダンジョン内ではぐれた時の為の用心であった。
だが、ようやく、遺跡の前をトラックが通った。ジオとエリーはライトと、ブルースを加えて大声で合図を送った。
声だけではない、見えていようがいまいが、身振り手振り加えて、馬鹿騒ぎしてるように。
しかし、トラックは虚しく通り過ぎる。
「なんで無視するんじゃぁぁ!!」ブルースは後ろで暴れるような地団駄を踏む。
「車の形覚えたからね!」エリーは憎ったらしく言った。
「糞、もう少し辛抱するか・・・・・・」一人、落ち着いた様子のジオは、壁にもたれ掛ってポケットから肉の缶詰と、十得プライヤーを取り出した。
「あんた頭おかしいんじゃないの?こんな時まで肉をしゃぶるなんて!」エリーは、ジオの変人じみたこの缶詰への偏愛ぶりにエリーはうんざりしている。
ジオが気に入っているこの四角い肉詰めの缶は、豚やネズミの屑肉に塩を加え、プレスされた物で決して上等な物ではないが、ジオは、コレが売っている町であれば、
一日に一缶空ける。そもそも、ジオはこの缶詰をポケットに常備しているのだ、現に彼の十得プライヤーの缶切りの歯は丸みを帯びている。
「ブルース、食わないか?うるせえのは無視して」ジオはエリーに顔を合わせず、ブルースに尋ねた。
「ああ、腹もへってきた。」
「まったく、何時買ったのよ・・・・・・」
グチグチ言うエリーの横で、ジオは十得プライヤーの缶きりで缶を開ける。
続いてプライヤーで缶を少し広げて肉との間に隙間を作り、肉を缶から3cmほど出すと、
十得プライヤーに付いているナイフで、缶からはみ出でた肉をスライスしてブルースに渡した。
「これ久しぶり食うけど、毎日食ってて塩辛くないのか?」
「それがいい。」
男二人は、300gほどの肉をすぐに食べつくした。
「お前なんでこんな夜にもサングラスしてるんだ?」
「かっこいいだろ?」
「馬鹿じゃないのか?」
「そう言ってるがお前の彼女も昨日グラサンかけてたぞ?」
「……あれは馬鹿の標本だ」
とは言いつつもジオは内心このままサングラスは付けていてほしいと思っている。エリーの瞳の色の事で騒がれたくないからだ。
このブルースという男、とても信心深いようにはみえないのだが、あの荒んだネディアにも十字架を掲げる教会があった事をジオは思い出す。
当のエリーは、無視された挙句に馬鹿呼ばわりされ、完全に臍を曲げている。遺跡の外に脚を出してブラブラさせている。
いつもの彼女ならば、幾らかの仕返しをする所だが、やはり疲れ果て仕返しの方法も思いつかなかった。
それから30分後、未だ機嫌を直さないエリーを他所に、ジオはブルースにPDAを良く見せて貰っていた。
そこに、先ほど遺跡の前を通過したトラックが、はしごを持って戻ってきたのだ。
「やった!」エリーが第一声を上げる。
ジオとブルースも、遺跡の外に身を乗り出すように外の様子を見る。
トラックは塗装もそこそこに剥げたもので、相当年季が入ってる。
ハシゴは一本では足りない為か、荷台に何本か乗せており、それらを固定するためのロープも積まれている。
トラックが3人の眼下に停まると、野球帽を被り、無精ひげを生やした小汚い中年の男がトラックの窓から顔を出す。
「お客さん、一人3万zだからね。どちらまで?」運転手は図々しくも、大金を要求する。
「えん!客だと?金を取る気か?おい!」ジオが声を荒げて言った。
「帰るよ。」運転手はエンジンを吹かす。
「だぁあくそ!」ブルースはジオの横で悔しそうに言う。
「払うのか?払わないのか?」運転手は卑しい笑みを見せながら、
ジオもブルースも、悔しさを顔に滲ませていた。
しかし、エリーは飄々とした顔をして男を呼び止めるのだった。
「このデカイ人(ブルース)の家までお願い。案内するわ~。」
「おいエリー!」ジオは巻き舌気味にエリーに言った。
「あいよ。」
そう言うと運転手は、トラックから降りて、荷台から梯子を下ろし、作業灯を照らして即席の長梯子を組み立て始めた。
「3人だと9万zもだ!本当に馬鹿なのか?」ブルースは声が裏返りそうになりながらエリーに言う。
「ジオ、ブルース、先に降りて。」エリーはブルースの質問に答えようとしない。
それどころか、不敵な微笑みを顔に隠していた。
「……何考えてるんだ?」ジオはエリーが何かを企んでいると感じていた。
「教えないわよヴァーカ!」仕返しとばかりにエリーがジオに言った。
ブルースは、エリーが何も考えていないとも思い、不満そうな表情を見せていた。
「ジオ。あと、これ。」エリーはゾプチックをジオに差し出した。
「まかせたからね。」
「……」ジオはロープでゾプチック背中に巻きつけた。
そうして、梯子三本から出来上がった長梯子が彼らの目の前に掛った。
「はやく降りて来い。」トラックの運転手は偉そうに急かす。が、念の為にと、梯子の根元を支えてくれてはいた。
また、わざわざ作業灯で梯子を照らしてくれた。しかし、これは3人が妙な真似をしないようにと用心の為であった。
ブルース、さら先に、男二人組みが渋々と梯子を降りる。エリーはまだ通路に留まって居た。
梯子は、思いの他しっかりと紐で結ばれており、思ったほど揺れる事は無かった。
ブルースは梯子を下りながらジオに言った。
「しかしまぁ、これだけのゾプチックだ、9万の損失なんか目じゃないよな。なぁジオ?」
しかし、ジオにブルースの空元気の言葉は耳に入らない。
呆れた事にジオは、梯子の前に立っているエリーのスカートの中を覗こうとしていたのだ。
(もう少し……もう少し……)と、ジオは梯子を降りながら、首と、体を反らしていく。
「お、おい!重心を後ろにやるなひっくり返る!」ブルースは慌ててジオに注意を促す。
(見える!!)と、ジオが思った矢先、エリーは梯子の前から少し後退した。
「ッチ……」スカートが視界から消えたジオは舌打ちをした。
「なにやってんだこの馬鹿!気をつけろよ!」ブルースがジオのカカトを叩く。
エリーはというと、ジオが、自分のスカート中を覗こうとしていたことなど見透かしてワザと梯子の側に立っていたのだ。
「きゃはははは、かわいい奴。」
その後すぐ、ジオとブルースは梯子を降りるとトラックの荷台に乗り込もうとした。
「おいおい、汚い尻乗せるのは金払ってからだ。」トラックの運転手が、2人言った。
「……ほらよ。今もってるのはコレだけだ」ジオは財布から3万zを男に手渡した。
運転手は金を数えると、満足そうに二人をトラックの荷台に乗せた。
「お嬢ちゃん、早くしな。」運転手は、再び梯子を支える。
だが、エリーは黙って、男を見下ろしている。
「お嬢ちゃん、どうした?」
「その……見ないでね。」エリーが声を発した。
「はい?」
「もう……イジワルしないでぇ~。」
「ああ、そうかそうか。ごめんね、目つぶっとくよ。」運転手は梯子を再び支える、薄目を開けてだ。
エリーはようやく梯子を降りだした。
「あの女、色仕掛けで安くするつもりか?」ブルースは隣に座るジオに言った。
「・・・・・・」ジオは、梯子を支えているトラックの運転手を睨んでいる。
トラックの運転手はエリーのスカートの中を覗き見ながら白々しく言う。
「もういいかい?」
「まだよ~」エリーはゆっくりと、梯子を降りていく。
「もういいかーい?」男は、ゆっくりと降りていくエリーの、影に包まれたスカートの中が、ライトに照らされていく様をじっくりと楽しんでいる。
「まだ。」
エリーが梯子中段付近に到達した時、トラックの運転手は再び「まだか?」と聞いた。
「もう少しよ~」
「そうかい、そうかい。」
やがて、エリーは梯子の三分の二を降り切ると、徐々に、エリーのスカートの中に光が当たろうとしていた、トラックの運転手の目は釘付けになっていた。
「まだかい?」
プロテクターのベルトが、エリーの白い腿に食い込んで見える。もう少し降りれば、エリーの下着は露になるだろう。
だが、エリーは梯子に掴まっている途中で、突如、「もういいよ!」と叫んだ。
トラックの運転手は驚いて薄目にしていた目を見開いた。エリーは間違いなくまだ梯子につかまっている。
故に「え?」と声を漏らしたその瞬間だ、トラックの運転手の後頭部が金属棒で叩かれた。
「修羅ぁぁ!」ジオは、トラックの持ち主がエリーの下半身を凝視していた隙に、背後に近づいてトラックの持ち主に金属棒の一撃をお見舞いしたのだ。
「ぬぁぁぁあああ!!」運転手はうめき声を上げながら、地面に崩れた。
「キャーハハハハハハ!!」
エリーは両腕で梯子にしっかりと掴まり、自ら梯子を倒し、トラックの荷台に直接着地した。
エリーの目の前でブルースは目を点にしていた。
「な、なにしてんだおい!!」
降りてきたエリーにも、衝撃で揺れる荷台にもそうだが、止める間もなく運転手を攻撃したジオにも、ブルースはひたすら仰天するばかりであった。
「車の運転できるか!?」ジオは運転手のズボンのポケットを探りながら、すっかり混乱しているブルースに言った。
「あ、ああ、解った!」ブルースはこう答え、トラックの運転席に移った。
ジオは運転手から3万zを奪い返して荷台に駆け足でもどる。
荷台で待っていたエリーが、戻ってきたジオの両肩に腕を回した。
「ナーイス!ご褒美にチューしちゃう!!」
「馬鹿!やめろ!!」ジオはエリーを突き放す。
「おい!車のカギは?」ブルースは運転席から荷台の二人に聞く。
「カギだと?」
「私とってくる!」
エリーは荷台から飛び降りて、気絶しているトラックの持ち主の体を探る。
エリーはそれれしき物をブルースに見せていく。
「これ?」
「いや、それはたぶん家のだ。」
「じゃあこれ?」
「それだ!」
エリーがその場を去ろうと駆け出したその時、意識を取り戻したトラックの持ち主がエリーの右足をつかむ。
「このアバズレ~~!!」
「あああ!エリー!」ブルースが運転席から叫ぶように言った。
だが、エリーは一切の躊躇なく左足で運転手の顔に蹴りを入れる。彼が手の力を緩めるまで何度も。
男が痛みに耐えかねてエリーの足首から手を離した。しかし、エリーはその後も延々と男を蹴りまくる。
「あんた如きが私から金を取るなんて身の程知らずもいい所よ!この無職童貞野郎がぁぁぁ!!!」
「ヒィ!ヒィ!ヒギィィィィィィ!!!」痛みの余り、運転手は目から涙を流しながら情けの無い声を上げる。
「あああ!おっさん!」ブルースが叫ぶように言った。
「おい!エリーいい加減、もどってこい!」ジオが、暴走するエリーに言った。
「え~」エリーは残念そうに言った。
「え~、じゃねぇ!早く!」
エリーは助手席に駆け込んで、ブルースに鍵を渡した。
すぐさまブルースはエンジンをかけ、トラックを動かす。
「ちくしょう!!」動き出すトラックを眼で追うトラックの持ち主。
エリーは、窓から顔を出してサングラスを外してトラックの持ち主に、自身の黄金眼を見せつけた。
「うう……」己をあざ笑う悪魔の目に、トラックの持ち主は言葉を失った。
「キャハハハハハハハハハハ!!」エリーは高笑いを上げる。
だが、エリーの高笑いが止まった。サングラスを落としてしまったのだ。
しかし、夜の上にブルースはサングラスをしてる。しばらくは問題ない。
「しっかし、本当にエゲツないな~お前ら。」と言いながら、ブルースはあっさりとサングラスを外してしまった。
「どうした!突然サングラス外して!」荷台からジオが怒鳴るように言った。
「いや、運転するには危ないじゃん。なに怒鳴ってる?」ブルースはサングラスをダッシュボードに置いた。
「なぁエリー……あ!」ブルースはエリーに話かけた時、エリーの眼を見てしまった。
「ど、どうしたんだその眼。」ブルースはトラックを運転しながらエリーに聞いた。
「……生まれつきなの。」
「……へぇ~。不思議なもんだな~。」
「怖くないの?」
「生憎というか丁度というか、おれは信仰心というものが生まれつき皆無でね。ただ世間一般の悪魔象とオーバーラップし過ぎてびっくりしただけだ。」
「……カッコいいじゃねぇか。」ジオはほっと胸を撫で下ろした。
「言われるまでもない。」
ブルースはエリーの虹彩の事を深く気にする様子は無かった。ジオとエリーは、それが、とても、とても嬉しく思えた。
トラックはネディアの街に向けて荒野を走る。
「で、どうする?」ブルースが仕切りなおすように2人に問う。
「とりあえず俺らが泊まってるモーテルに行く。ゾプチックをそこに置いた後、トラックを適当に隠しに行く。」
「そうか、じゃあ今日は俺も泊るか。」
「えー?どうして?」と、エリー。
「ディフレクター2人に任せたら持ってかれそうだ。」
「そんな理由で愛の巣に入ってくるの?」
「ブルース、こいつは無視しろ。解った、お前の言うとおりだ、今晩は一緒に居よう。その代わり、酒を買ってきてくれないか?」
「解った買ってくる。」
「ねぇ、あんたはいくつ?」エリーがブルースに問う。
「20。ちょっとは敬語使えよ~。」
「ところで、その・・・アゴ大丈夫?」エリーはビュシュー遺跡で誤って蹴ったブルースの顎を心配していた。
「ああ、そういえばもう殆ど痛くないわ。」
「んもぅ!ジオ!あんた何が、骨にひびが入ってる。よ!」心配の元になったジオのデタラメな診断に憤慨した。
歓楽街の活気が、疲れ果てた3人の静寂を吹き飛ばす。
ブルースは、ジオとエリーを車に乗せて、昨日おとずれた行き着けの酒場で、酒を買いに来た。
ついでに、財布を返してもらう事に。
酒場にも昨日と同じく活気があった。
ブルースは酒を買うだけでなく、カウンターの前をウロウロしながら、いちいちポーズを変えて、昨夜から今日にかけての冒険を自慢していた。
表で待たせているジオとエリーの活躍を省略して。
「・・・っと言う訳でついに俺もゾプチックを手に入れたに到るわけよ。っと言うわけオヤジ、約束通り酒をおごらせてもらうぞ。持ち帰りで。」
「いや、マスターはそんな約束してないし、おごってもらうのに持ち帰るしヤリタイ放題だな君は。」女性店員が、呆れて聞いている店主の横で突っ込んだ。
「じゃあビールを瓶に詰めて6本と、ジンを一瓶を売ってくれ。」ブルースはカウンターの奥の棚を指差していった。
そこに、ブルースの背後から、妙に凄んだ男が近づいて来た。
「おい、兄ぃちゃん。えらく羽振がいいじゃねぇいか。」男はブルースの肩を叩いて言った。
「なんだおっさん、あんたはえらく機嫌が悪そうだな。」ブルースは振り向いて一言こう返すと、再び男に背を向けて酒を買うのを続けた。
「俺は神能会の木戸原だ。昨日、俺の兄弟を可愛がってくれたそうじゃねぇか。」
「ああ、あの3人なら……いいや、弱い奴のことはいちいち覚えていない。」ブルースは男に背中を向けたまま答えた。
「お前絶対覚えてるだろ!馬鹿にしやがって!」
男の手に握られたリボルバーが、ブルースの胃の裏を捉えた。
「え……お前、銃?」
「ただの銃じゃねぇ、お前の胃袋を狙っているのはよ、青酸カリを塗りたくった実弾銃だ。いくらお前がタフで、一発じゃ倒れなくても、これ食らったら結局死ぬぜ。」
「なんて物騒な真似しやがるんだ。」
異変に気が付いた店内はすっかりと静まり返ってしまった。
だが、ブルースは飄々としており、女性店員に到ってはブルースに頼まれた酒瓶を黙々と用意している。
「ついてこい!」
「弾の出ない銃で着いて行く奴はいないよ。」
「何!!?」
暴漢はハッと、手元を見た。握っている銃は、引き金に掛かった指を擦れ擦れに、トリガーガード、シリンダー、フレームが真っ直ぐに焼き切られていた。
切断面は鮮紅色を帯びる。銃身などは床に落ちていた。
ジオとエリーは中での揉め事など知らずにブルースが戻ってくるのを待っていた。
「遅ぇなあ、なにやってんだ?」
「自慢ついでにボロでも出してるんじゃないの?」
だらだらと喋るジオとエリーに元に、「うわぁぁぁぁぁ!」と、男の低い悲鳴が酒場から響く。
ジオとエリーがそれを聞くやいなや、酒場から、全身に刺青を刺した素っ裸の男が走り出ていった。ブルースを襲った木戸原である。
ジオとエリーは声そろえて「ええ?」と唸った。
続いてブルースが酒の入った紙袋を抱えて店から出てきた。
「まったく、粋なモンモン隙間無く彫ってるわりにゃ隙が多すぎるってんだ」と、ブルースが車の運転席に戻る。
「お前がやったのか?」ジオがブルースに聞いた。
「ああ、昨日の3人組の敵討ちに来たらしいが、ビームブレードを使って服だけ切り飛ばしてやった。ベタな手だがな。」
「んな馬鹿な!」
「もしかしてホモ?」エリーは何気なく聞いた。
「いやいや!誤解!誤解!」
その後、3人は真っ直ぐモーテルに向かい、間もなく着いた。
手に入れたゾプチックを部屋に運び込むと、3人は装備を解いて、床に置き、ジオとエリーは各々のベッドの上で脱力し、ブルースは部屋のソファーに腰をかけた。
「ふぅ・・・やっとこの暑苦しいブーツから開放される。」
ジオは、黒いブーツの紐を緩める。
「つーかれたー。おなか減ったぁ。」エリーはベッドでうつ伏せになっている。
「そうだな、ピザでも頼むか。」エリーの独り言に答えるようにブルースが言った。
「ぴざ?」不思議そうに切り返すエリー。ジオとエリーはピザを知らない。
「ピザもしらねぇのか?世にもあんまりな田舎に生まれたもんだな。えー、そこの宿の案内にピザ屋の電話番号とかチラシがないか?」
ジオがベッドの横のエンドテーブルから、チラシの類をブルースに渡す。
ブルースが品物を決める『チーズツイストベーシックLL』。ピザを知らない二人にオーダーを伺っても無駄だろうと、ブルースは
すぐに部屋に備えてある電話で注文を済ませた。
「よし、これで30分後にはチーズたっぷりのピザが届くはずだ。」
「美味いのか?」ジオは意味も無く聞いた。
「まずいものは注文しないさ。」
「じゃあ、私お風呂に入ってくる」エリーはピザが届く前にシャワールームへ向かった。
ジオはベッドから立ち上がって紙袋の中に入っているビールと、部屋に備えてあるコップを取る。
ブルースはテレビのリモコンを探し始める。
ブルースがリモコンを探していると、青く細い糸のような物を、エリーの枕の上で見つけた。
ブルースはそれを拾い上げまじまじと見つめる。
「おい、エリーは髪の毛も青いのか?」
「えん?」ジオはビールを、コップに注いでいた。
「いや、その、エリーは眼も金色だが……」ブルースは言葉を詰まらせる。
「……ああ、生まれつきだ。おかげで村八分だったよ。」ジオの声が沈んだ。普段よりも声はしわがれて聞こえる。
「お前たちが、故郷を離れた本当の理由はそれなのか?」ブルースはシャワーを浴びるエリーに聞こえない程度の声で聞いた。
「逃げ出してきた訳じゃないがな。あいつと、初めて会ったのはお互い九つの頃だった、その頃には、自分の面を見てビビル大人を笑ってた。
色々と不便だが、あいつ自身は、下手すりゃ俺以上に自分の事を気にしちゃいねえな。俺が言わなきゃ髪だってそのままだろう。」
「スッゲー鮮明なビジョンが浮かぶわ。彼女らしいよ。」
「いいさ。髪は染めりゃ終いだ。目はサングラスなり、カラーコンタクト入れるなりすりゃいい。」
「たしかに、デッドラインでも、キリシタリアは浸透した宗教だ。ただ、狂信的な信者は少ないが、それでも偏見の眼は恐ろしい。」
「ただ……できれば、髪も、眼も、あいつの好きなようにさせてやりたい。俺に気を使って染めてるんだろうからな。」
ジオがコップに注いだビールからは、泡が消えていた。
***
「ジオ~一緒に入るぅ?」シャワールームからエリーの声が聞こえる。
「一人でヤッてろ馬鹿が。」ジオは口汚く、罵るように返した。
「なーんて。もう上がってんのよ。」
エリーはそう言うと、この安モーテルのボロボロのバスローブを羽織って出てきた。
「オメェ服ぐらい着ろ。客もいんだぞ。」
ブルースは眼のやり場に困りながら、ふとTVのリモコンの事を思い出して再び探し始めた。
「だってもうあんなダサい格好耐えられないわよ。明日服を一緒あんたのも買いに行くわよ。」エリーはそう言いながらジオの隣に座った。
「俺はいい。」
「駄目。買え。」
二人が話している間にブルースは、リモコンを探すのは諦め、直接TVの電源を入れた。
「これ、エイガってやつ?」エリーがTV画面に反応を示す。ジオもTVに目を向ける。
「ああ、多分ドラマではないな。ま、これでピザ来るまで退屈はしないさね。」ブルースは再びソファーに腰掛ける
TV画面からは、どこかの都会で映画を見終えた3人の親子が映っている。
『お父さん!お母さん!』
親子は強盗に襲われ、両親は凶弾に倒れた。
『小僧、月夜に悪魔と踊った事はあるか?』
暴漢は、少年に銃口を向け、引きつったような笑いを見せる。
「なんのこっちゃ訳が解らん。途中で見るもんじゃねえな」と、ブルースは言いながらジオのTV番組への反応を伺う。
だがTVを見たジオの様子は明らかに変だった。額に汗を溜め、TVから目を逸らし、俯いて、目をしっかりと閉じていた。
「どうした?大丈夫か?凄い汗だぞ!?」
エリーは急いでTVの電源を切った。
「大丈夫?」エリーはジオの両手でその頬を包んで言った。
「ああ……大丈夫だよエリー……疲れただけだ、外の風に当たってくる。」蒼白とした顔でジオは部屋から出て行った。
「大丈夫じゃないぞあれは……」部屋の戸が閉じてからブルースは言った。
「……多分、今日色々とあったから疲れてるのよ」
ブルースはエリーが隠し事をしていると感じる。恐らくは、ジオの両親は映画のように殺されていて、それをエリーにだけ打ち明けているのではないかと。
ブルースが少しの間の沈黙を空けて切り出す。
「エリー……ジオは、両親を亡くしているのか?」
「……変な事は聞かないでちょうだい。」エリーはブルースを睨む。
「怒るか。すまん。ただ、そうだったら、TVと合点がいくかな、って。」
「さっきの話、全部聞こえていたよ。」
「……」ブルースは沈黙で答えた。
「いいのよ。あいつは、話しても私が傷つかないように話してくれるわ。それに私自身、あいつの言う通り、この眼と、本当の髪の色に脅える人は心底滑稽に見えるわ。
そして、どこまでも脅えさせて苦しめてやりたい。でも、あいつは弱いの。あんなに強いのに、自分の過去にどうしても誇りを持てないの。本当に悲しいことだらけで。」
「……俺が悪かった。すまない。会ってから24時間ちょっとしか経ってない人間が軽々しく、人の過去に入ろうなどと……」
「……もういいのよ。」エリーは首を横に振りながら言った。
2009年9月26日土曜日
コードギアス 反逆のルルーシュR2
@サンライズは一刻一秒でも早く本作を公式に黒歴史と称して、どんな低予算低作画でも構わないから3話程度のOVAを予定しつつ1話で打ち切りという忌々しき目に会い、そちらを正史にするべき
前作『コードギアス:反逆のルルーシュ』に関してはいい加減な愚文を残しているので、先にこちらを作り直すべきなのかも知れないのだが、この『R2』への落胆の意を表さない限りそれはできない。 昔のブログで、『R2』のレビューは毎週書いていたが、後半でそれを中断させてしまう程の下らなさだ。
放送終了からこの1年間、この大駄作とようやく向き合い、ケリをつけられる。
はっきり言って『コードギアス』第一作は名作とは言えずとも2000年台を代表する傑作と言って過言ではない。第一作のラストで終わらせていても完璧に近い仕上がりであった。理想的なバッドエンドと言える。問題だったのは、この大駄作たるの為に余計な伏線を残していた事だ。そこまで上手く閉めた作品に伏線残してまで作られた『R2』は、第一作の功績を完膚なきまでに潰してしまっている。
1・ 完成された悪の活躍を放棄
主人公のルルーシュ、一期放映中こそ「『デスノート』の夜神月をヘタレにした感じ」として人気を博し、劇中でも「頭でっかちの童貞坊や」と嘲笑され、「シスコン」形容される妹への執着に顕著だ。彼のシスコンぶりは、所謂「妹萌」による近親相姦的な物として認知されているが、どちらかというと『スカーフェイス』のトニー・モンタナのソレに近い。「俺は親父よりマシだ。」という、ある種のコンプレックスの裏返しなのである。トニーと違う点といえば、妹にその点が見抜かれていない事と、環境に恵まれた身体障害者ゆえにこの妹がいつまでも幼いままなのだ。
しかし、ラスト3話で主人公のルルーシュが完全無欠の悪の権化と化す驚きがあった。
それが堕落なのか、はたまた逸脱なのかは解らないが、このコードギアスという物語がルルーシュの悪の花道を描くと言うのならば、一段の目標を見事にクリアしてる。『デスノート』はそこを疎かにしてしまっており、「本当の悪は自身が悪である事を自覚していない」という先入観ありきになってしまっていた。確かに、「価値観の異なる存在」というのは最大の脅威となる、しかし、スラムキングやジョーカー、柿崎憲等といった自身を悪と認識している“絶対悪”は存在しているし、彼らの凶行の数々は語り草となっている。その多くは、到底「価値観の差」では埋め合わせできない残虐非道。その点ではルルーシュは彼らに近い、
私はこのラスト三話にて魔王と化す主人公の秀逸な展開、描写でこのコードギアスというアニメが傑作であると確信した、というかこのラスト3話が無ければ此処まで褒めていない。(実はこのラスト3話の前には『ナディア島編』よりも酷い中だるみが続いている)
ルルーシュは此処でようやく、夜神月では成し遂げられなかった歴代の悪党たちと肩を並べるに到るのである。
しかし、それでも彼のアキレス腱である妹ナナリーが捕らわれ、戦場から離脱したルルーシュは、旧友スザクに魔王となった自身を完全否定され銃口を向け合うと、虚しく銃声が響いた。
で、「R2」になるのだが……
冒頭からルルーシュは記憶が消されており、記憶を取り戻し、再びブリタニアに挑戦するのだが、一期ラスト3話における魔王としての才覚が記憶と共に戻る事は永遠に無かった。R2は終始、「頭でっかちの童貞坊や奮闘記」が繰り広げられ、挙句の果てに一期においては魔王の嘲笑するべき綺麗事をのたまう始末。
続編で描くべきは魔王と化したルルーシュの覇道ではないか?
どうしても「主人公は実は可哀想な奴なの!」と乙女ロード行くにしても、前作と同じような事で泣き言抜かす主人公ではなく、別の事で嘆き悲しむ主人公でなくてはならない。
いや、綺麗事が悪いとは言わない。かつての梟雄・魔王が名君主・英雄として蘇生する物語だとすればそれで良し。だが『R2』には改心などという描写や、テーマが打ち出されている所は一切無かった。
2・無意味なスーパーロボット化
第一作からナイトメアフレームという、ロボットが登場している。これがよくダサイと後ろ指差されているがソレが良い。こいつらの造形は実に形容しやすく、近代型戦車に手足ポン付けしたようなロボットだ。しかも脱出用コンテナに胴体が殆ど占拠されていて物凄くブサイクなのだ。そこが最高だ。量産機の故にか、ここまで“リアル風”にデザインした潔さに敬意を感じるし、正直シブイ。これが画面所狭しと、潰し合いを繰り広げる。例えるなら「ザクとザクがガチバトル(ククルス・ドアン除く)」最高だ!
メインキャラの専用機はコレに無理矢理デコーレションを加えて空飛んだりして壊滅的にダサイのだが。
で、『R2』ですよ。
序盤はともかくとして、この量産機にも飛行ユニットを搭載することが主流となってしまい、一期に頃にあった『野望の王国』的な戦略が展開されなくなる。かといって、ソレを穴埋めする空中戦というものは非常に乏しく、上記のメインキャラ専用機の射撃の的と化す。なにも面白くない。
3・曖昧な敵ブリタニア
これは第一作の頃からの欠点である。本作は、仮想歴史としてアメリカは独立に失敗。大陸にはブリタニアという軍事主義の専制君主国家が存在しており、これが世界の三分の一を植民地としている。
その凶暴性を露呈していた存在が若本規夫氏演じるルルーシュの実父、シャルル皇帝であった。登場早々、彼は民主主義の一切を否定し、暴力の一切を肯定する人格破綻者の演説を披露。作中からブリタニアは狂っているという事だけが漠然と巨然と伝わってきた。そして無差別だが計画的に植民地を拡大する軍事侵略国家として描かれる事となる。ただ、国家としての描写はなんというか浅いものだった。ブリタニアの腐敗した軍閥や封建制度なども非常に端的で、意味を成していない。
で『R2』ですよ。
物語中盤から終盤手前にかけて暴力の権化の如く立ちはだかっていた皇帝が、実は平和を望んで人類補完計画のような物を成功させる事こそが最大の目的であると、主人公ルルーシュに語られた。
はっきり言って「はぁ?」である。上記の文章、読んでも意味がわからないと思う。俺は何度本編を見直してもこう表現しかできない。全くもって意味不明なのである。この突如発生した意味不明イベントは、視聴者を置いてけぼりに展開される。
この人類補完計画的な何かを差し置いても、「実は平和を望む世界最強国家の最強な皇帝は嫌々、狂人演説と一方的侵略を行っていた」っと、意味不明である。
更に問題なのは、この人類補完計画的な何か、実現するために、他国へ侵略する必要が全く無い。
一体なんだったのかまるで判らない。本気で意味がわからない。
もう筆者は本件についてこれ以上の執筆を放棄する。9月から執筆をはじめ、一ヶ月以上この項で筆が狂い始め何度も書き直した。
とにかく、一期の頃で描写の浅さが目立った敵である侵略国家が、意味不明なオカルトじみた計画を世界平和の為にこそこそがんばっていた事が発覚。ただし、侵略は計画に一切関係ない。
という曖昧すぎる描写に俺が怒っている事だけは伝わればいい。本件によって一期から培われた物語が頓挫するに到る。
4・サンライズ版、『野望の王国』になりきれず主人公自殺END
『R2』は第一作で描かれていたルルーシュというキャラクターからは、おおよそ考えられない、主人公の自殺にて物語が締めくくられる。その内容というのは、世界を独裁政治で支配したことで全ての憎しみを向けられた存在となった自分を、ゼロという「救世主」に扮したスザクに討たせることで憎しみを断ち切るというもの。オレが思うにこんな計画は成功しない。日本レベルだけで考えても、マスコミの言うままに鳩山を神輿に上げた大衆といい、「俺たちの麻生!」と政治家を疑わないオタク層といい、世の中には、権威という物にどうしようもなく弱く、彼らの前では思考を停止してしまう人が沢山いる。ともなれば、ルルーシュの死=権威の喪失を憂う者たちとの新たな戦いの火種にしかならないのだ。
少なくとも、第一期のルルーシュならば、こんな考えは嘲笑の対象だし、なによる自分がまるで可哀想な奴みたいで絶対にやらない。『R2』作中でもさしたる改心の描写などなく唐突に自殺する。
コードギアス一期が、ロボットや仮想歴史が横行するような世界観であるにも関わらず、このような夢想事が入る隙が無いほど殺伐として荒んだ『野望の王国』状態を見事に描いていた。しかし、結末で人類全員が世間の問題や憎しみをルルーシュ自身に向けるなど、生善説に根性&精神論の作品になってしまっている。
と、主人公ルルーシュを中心に、本作の破綻ぶりを示したが、脇を固める登場人物全員にも同じく設定破綻に行動の矛盾が生じており、もはや列挙しきれない。大きなものを上げると・・・
作中最大のライバルのスザクにしても、立ち回りがいい加減で、裏切るタイミングや、立ち回りが悪く、主人公に対してのさしたる脅威となっていない。ルルーシュの日本人を寄せ集めた私兵、黒の騎士団にしても、終盤で敵であるブリタニアと手を結ぶなどは、一期における日本人の冷遇描写を考慮するに本作の世界観までもが大いに揺らいでいる。
また、破綻というほどではないが、ジュレミアという登場人物がおり、前作でルルーシュに貶められ絶命するが、左右非対称サイボーグの復讐鬼と化して復活を開始する。だが、あっさりルルーシュの仲間になってしまい、その調理を間違っている。
私はかつて、終盤の予算的なクオリティ低下を遺憾に思うゆえに「エヴァンゲリオン」を最低のアニメと評したが、本作は予定調和で製作されていたにも関わらず、列挙しきれない破綻を膨大に生み出し、近年、キャラクターの造型が重視されるゆえに作画にばかりアニメの評価が傾いているが、ストーリーにおいて本作に劣る駄作は恐らく向こう10年登場しないだろう。「エヴァ」と「R2」は世間的に傑作であっても私にとっては10年に一度の大駄作たちである。
前作『コードギアス:反逆のルルーシュ』に関してはいい加減な愚文を残しているので、先にこちらを作り直すべきなのかも知れないのだが、この『R2』への落胆の意を表さない限りそれはできない。 昔のブログで、『R2』のレビューは毎週書いていたが、後半でそれを中断させてしまう程の下らなさだ。
放送終了からこの1年間、この大駄作とようやく向き合い、ケリをつけられる。
はっきり言って『コードギアス』第一作は名作とは言えずとも2000年台を代表する傑作と言って過言ではない。第一作のラストで終わらせていても完璧に近い仕上がりであった。理想的なバッドエンドと言える。問題だったのは、この大駄作たるの為に余計な伏線を残していた事だ。そこまで上手く閉めた作品に伏線残してまで作られた『R2』は、第一作の功績を完膚なきまでに潰してしまっている。
1・ 完成された悪の活躍を放棄
主人公のルルーシュ、一期放映中こそ「『デスノート』の夜神月をヘタレにした感じ」として人気を博し、劇中でも「頭でっかちの童貞坊や」と嘲笑され、「シスコン」形容される妹への執着に顕著だ。彼のシスコンぶりは、所謂「妹萌」による近親相姦的な物として認知されているが、どちらかというと『スカーフェイス』のトニー・モンタナのソレに近い。「俺は親父よりマシだ。」という、ある種のコンプレックスの裏返しなのである。トニーと違う点といえば、妹にその点が見抜かれていない事と、環境に恵まれた身体障害者ゆえにこの妹がいつまでも幼いままなのだ。
しかし、ラスト3話で主人公のルルーシュが完全無欠の悪の権化と化す驚きがあった。
それが堕落なのか、はたまた逸脱なのかは解らないが、このコードギアスという物語がルルーシュの悪の花道を描くと言うのならば、一段の目標を見事にクリアしてる。『デスノート』はそこを疎かにしてしまっており、「本当の悪は自身が悪である事を自覚していない」という先入観ありきになってしまっていた。確かに、「価値観の異なる存在」というのは最大の脅威となる、しかし、スラムキングやジョーカー、柿崎憲等といった自身を悪と認識している“絶対悪”は存在しているし、彼らの凶行の数々は語り草となっている。その多くは、到底「価値観の差」では埋め合わせできない残虐非道。その点ではルルーシュは彼らに近い、
私はこのラスト三話にて魔王と化す主人公の秀逸な展開、描写でこのコードギアスというアニメが傑作であると確信した、というかこのラスト3話が無ければ此処まで褒めていない。(実はこのラスト3話の前には『ナディア島編』よりも酷い中だるみが続いている)
ルルーシュは此処でようやく、夜神月では成し遂げられなかった歴代の悪党たちと肩を並べるに到るのである。
しかし、それでも彼のアキレス腱である妹ナナリーが捕らわれ、戦場から離脱したルルーシュは、旧友スザクに魔王となった自身を完全否定され銃口を向け合うと、虚しく銃声が響いた。
で、「R2」になるのだが……
冒頭からルルーシュは記憶が消されており、記憶を取り戻し、再びブリタニアに挑戦するのだが、一期ラスト3話における魔王としての才覚が記憶と共に戻る事は永遠に無かった。R2は終始、「頭でっかちの童貞坊や奮闘記」が繰り広げられ、挙句の果てに一期においては魔王の嘲笑するべき綺麗事をのたまう始末。
続編で描くべきは魔王と化したルルーシュの覇道ではないか?
どうしても「主人公は実は可哀想な奴なの!」と乙女ロード行くにしても、前作と同じような事で泣き言抜かす主人公ではなく、別の事で嘆き悲しむ主人公でなくてはならない。
いや、綺麗事が悪いとは言わない。かつての梟雄・魔王が名君主・英雄として蘇生する物語だとすればそれで良し。だが『R2』には改心などという描写や、テーマが打ち出されている所は一切無かった。
2・無意味なスーパーロボット化
第一作からナイトメアフレームという、ロボットが登場している。これがよくダサイと後ろ指差されているがソレが良い。こいつらの造形は実に形容しやすく、近代型戦車に手足ポン付けしたようなロボットだ。しかも脱出用コンテナに胴体が殆ど占拠されていて物凄くブサイクなのだ。そこが最高だ。量産機の故にか、ここまで“リアル風”にデザインした潔さに敬意を感じるし、正直シブイ。これが画面所狭しと、潰し合いを繰り広げる。例えるなら「ザクとザクがガチバトル(ククルス・ドアン除く)」最高だ!
メインキャラの専用機はコレに無理矢理デコーレションを加えて空飛んだりして壊滅的にダサイのだが。
で、『R2』ですよ。
序盤はともかくとして、この量産機にも飛行ユニットを搭載することが主流となってしまい、一期に頃にあった『野望の王国』的な戦略が展開されなくなる。かといって、ソレを穴埋めする空中戦というものは非常に乏しく、上記のメインキャラ専用機の射撃の的と化す。なにも面白くない。
3・曖昧な敵ブリタニア
これは第一作の頃からの欠点である。本作は、仮想歴史としてアメリカは独立に失敗。大陸にはブリタニアという軍事主義の専制君主国家が存在しており、これが世界の三分の一を植民地としている。
その凶暴性を露呈していた存在が若本規夫氏演じるルルーシュの実父、シャルル皇帝であった。登場早々、彼は民主主義の一切を否定し、暴力の一切を肯定する人格破綻者の演説を披露。作中からブリタニアは狂っているという事だけが漠然と巨然と伝わってきた。そして無差別だが計画的に植民地を拡大する軍事侵略国家として描かれる事となる。ただ、国家としての描写はなんというか浅いものだった。ブリタニアの腐敗した軍閥や封建制度なども非常に端的で、意味を成していない。
で『R2』ですよ。
物語中盤から終盤手前にかけて暴力の権化の如く立ちはだかっていた皇帝が、実は平和を望んで人類補完計画のような物を成功させる事こそが最大の目的であると、主人公ルルーシュに語られた。
はっきり言って「はぁ?」である。上記の文章、読んでも意味がわからないと思う。俺は何度本編を見直してもこう表現しかできない。全くもって意味不明なのである。この突如発生した意味不明イベントは、視聴者を置いてけぼりに展開される。
この人類補完計画的な何かを差し置いても、「実は平和を望む世界最強国家の最強な皇帝は嫌々、狂人演説と一方的侵略を行っていた」っと、意味不明である。
更に問題なのは、この人類補完計画的な何か、実現するために、他国へ侵略する必要が全く無い。
一体なんだったのかまるで判らない。本気で意味がわからない。
もう筆者は本件についてこれ以上の執筆を放棄する。9月から執筆をはじめ、一ヶ月以上この項で筆が狂い始め何度も書き直した。
とにかく、一期の頃で描写の浅さが目立った敵である侵略国家が、意味不明なオカルトじみた計画を世界平和の為にこそこそがんばっていた事が発覚。ただし、侵略は計画に一切関係ない。
という曖昧すぎる描写に俺が怒っている事だけは伝わればいい。本件によって一期から培われた物語が頓挫するに到る。
4・サンライズ版、『野望の王国』になりきれず主人公自殺END
『R2』は第一作で描かれていたルルーシュというキャラクターからは、おおよそ考えられない、主人公の自殺にて物語が締めくくられる。その内容というのは、世界を独裁政治で支配したことで全ての憎しみを向けられた存在となった自分を、ゼロという「救世主」に扮したスザクに討たせることで憎しみを断ち切るというもの。オレが思うにこんな計画は成功しない。日本レベルだけで考えても、マスコミの言うままに鳩山を神輿に上げた大衆といい、「俺たちの麻生!」と政治家を疑わないオタク層といい、世の中には、権威という物にどうしようもなく弱く、彼らの前では思考を停止してしまう人が沢山いる。ともなれば、ルルーシュの死=権威の喪失を憂う者たちとの新たな戦いの火種にしかならないのだ。
少なくとも、第一期のルルーシュならば、こんな考えは嘲笑の対象だし、なによる自分がまるで可哀想な奴みたいで絶対にやらない。『R2』作中でもさしたる改心の描写などなく唐突に自殺する。
コードギアス一期が、ロボットや仮想歴史が横行するような世界観であるにも関わらず、このような夢想事が入る隙が無いほど殺伐として荒んだ『野望の王国』状態を見事に描いていた。しかし、結末で人類全員が世間の問題や憎しみをルルーシュ自身に向けるなど、生善説に根性&精神論の作品になってしまっている。
と、主人公ルルーシュを中心に、本作の破綻ぶりを示したが、脇を固める登場人物全員にも同じく設定破綻に行動の矛盾が生じており、もはや列挙しきれない。大きなものを上げると・・・
作中最大のライバルのスザクにしても、立ち回りがいい加減で、裏切るタイミングや、立ち回りが悪く、主人公に対してのさしたる脅威となっていない。ルルーシュの日本人を寄せ集めた私兵、黒の騎士団にしても、終盤で敵であるブリタニアと手を結ぶなどは、一期における日本人の冷遇描写を考慮するに本作の世界観までもが大いに揺らいでいる。
また、破綻というほどではないが、ジュレミアという登場人物がおり、前作でルルーシュに貶められ絶命するが、左右非対称サイボーグの復讐鬼と化して復活を開始する。だが、あっさりルルーシュの仲間になってしまい、その調理を間違っている。
私はかつて、終盤の予算的なクオリティ低下を遺憾に思うゆえに「エヴァンゲリオン」を最低のアニメと評したが、本作は予定調和で製作されていたにも関わらず、列挙しきれない破綻を膨大に生み出し、近年、キャラクターの造型が重視されるゆえに作画にばかりアニメの評価が傾いているが、ストーリーにおいて本作に劣る駄作は恐らく向こう10年登場しないだろう。「エヴァ」と「R2」は世間的に傑作であっても私にとっては10年に一度の大駄作たちである。
2009年9月22日火曜日
人肉饅頭三部作
『八仙飯店之人肉饅頭』
@傑作
凶悪殺人鬼ウォンはマージャンに負けた腹いせに八仙飯店の一家を惨殺、店を乗っ取っり死体を饅頭にして売りさばいた。しかし、従業員たちは当然、店長一家の不在を不審に思う、それに気づくや否やウォンは男性従業員を伝票刺しで殺害、続けて女性従業員を強姦した後に、女淫に割り箸の束を叩き込み殺害。やはり饅頭の具にして売りさばく。かれは、饅頭に出来なかった部位を海に捨ててしまった為に警察に逮捕されるが、中々口を割らない。刑事たちは彼を取調室、留置所、病院にてリンチに駆ける事でようやく、一連の凶行を認めるのだが…
残忍な描写ばかりが話題になった作品だが、実際はバイオレンス映画の暴力性と、スプラッター映画の残虐性が同居した凶悪殺人鬼の凄まじい無軌道かつ残虐なる犯行をアンソニー・ウォンが見事に怪演し、場違いな刑事たちのコメディリリーフな演出が加わり、その二つが絶妙なテンポの良さで拮抗し、香港返還前の熱気と不信感が生んだ会心作となっている。グロテスクなのに「見たい」と思わせてしまうあたりは、怖い物見たさエンターテイメントとして見事に昇華させている事は間違いなく、「羊たちの沈黙」路線に乗っけての興行だったが本作でしか見れない物もちゃんと持っている。犯人の人肉を饅頭にする凶行が、変態的なカニバリズムに直結した行動ではなく、死体の処理の為に選んだ最善策と思考しており、本人は人肉を食していない。先述の事件を追う刑事たちの大袈裟過ぎないコントなどは本作の持ち味である。
『八仙飯店之人肉饅頭2』
@凡作
前作から、実に五年後に製作され、全く期待されていなかった事に加えて、特筆する点が特に無く絶望的なまでに知名度の低い作品。
アンソニー・ウォンは、デブで小市民の刑事を演じている。
本作で殺人鬼を演じるのはポーリー・シュン、ブルドックみたいなババァをペンキ撒いた挙句に燃やしたりやりたい放題。 あ、Mの方々、美人さんですよ。
この娘(ファン)が、淫乱で散財家の嫁の尻に敷かれている主人公を誘惑するわけであります。
旦那がファンと外に出た時に惚気て軽はずみで撮ったウエディングドレス店の写真が嫁が帰ってきたら家中に飾られ、いよいよ、修羅場になって、ファンは嫁を殺害。死体を処分するために、旦那は嫁のバラバラ死体を泣く泣くチャーシューに、それでもファンの異常さはとどまる事は無くついに…
ポーリーの目玉をカッと見開いた目をドアップに映される凶行は、所謂ヤンデレの奔りであり、もうちょっと評価されてもおかしくは無いのだが、いかんせんアンソニー・ウォンの狂演には敵わない。
また、宣伝に虚偽が見られ、アンソニー・ウォンとポーリー・シュンが肉を焼くという劇中ではありえない姿が、ビデオのジャケットでも確認でき、そもそも、人肉饅頭ではなく嫁のチャーシューだ。
『八仙飯店之人肉饅頭3』
@駄作
本作は、複数犯を描いておりますが、全員罪が意識に耐え切れず完全犯罪目前で自白してしまうという、ある意味、3作中もっともリアリティがある題材である事意外、特に書くべき点は無く、第一作の功績と前作の変化球を一切踏襲していない代物。つまらないです。そもそも、人肉すら登場しないし。
@傑作
凶悪殺人鬼ウォンはマージャンに負けた腹いせに八仙飯店の一家を惨殺、店を乗っ取っり死体を饅頭にして売りさばいた。しかし、従業員たちは当然、店長一家の不在を不審に思う、それに気づくや否やウォンは男性従業員を伝票刺しで殺害、続けて女性従業員を強姦した後に、女淫に割り箸の束を叩き込み殺害。やはり饅頭の具にして売りさばく。かれは、饅頭に出来なかった部位を海に捨ててしまった為に警察に逮捕されるが、中々口を割らない。刑事たちは彼を取調室、留置所、病院にてリンチに駆ける事でようやく、一連の凶行を認めるのだが…
残忍な描写ばかりが話題になった作品だが、実際はバイオレンス映画の暴力性と、スプラッター映画の残虐性が同居した凶悪殺人鬼の凄まじい無軌道かつ残虐なる犯行をアンソニー・ウォンが見事に怪演し、場違いな刑事たちのコメディリリーフな演出が加わり、その二つが絶妙なテンポの良さで拮抗し、香港返還前の熱気と不信感が生んだ会心作となっている。グロテスクなのに「見たい」と思わせてしまうあたりは、怖い物見たさエンターテイメントとして見事に昇華させている事は間違いなく、「羊たちの沈黙」路線に乗っけての興行だったが本作でしか見れない物もちゃんと持っている。犯人の人肉を饅頭にする凶行が、変態的なカニバリズムに直結した行動ではなく、死体の処理の為に選んだ最善策と思考しており、本人は人肉を食していない。先述の事件を追う刑事たちの大袈裟過ぎないコントなどは本作の持ち味である。
『八仙飯店之人肉饅頭2』
@凡作
前作から、実に五年後に製作され、全く期待されていなかった事に加えて、特筆する点が特に無く絶望的なまでに知名度の低い作品。
アンソニー・ウォンは、デブで小市民の刑事を演じている。
本作で殺人鬼を演じるのはポーリー・シュン、ブルドックみたいなババァをペンキ撒いた挙句に燃やしたりやりたい放題。 あ、Mの方々、美人さんですよ。
この娘(ファン)が、淫乱で散財家の嫁の尻に敷かれている主人公を誘惑するわけであります。
旦那がファンと外に出た時に惚気て軽はずみで撮ったウエディングドレス店の写真が嫁が帰ってきたら家中に飾られ、いよいよ、修羅場になって、ファンは嫁を殺害。死体を処分するために、旦那は嫁のバラバラ死体を泣く泣くチャーシューに、それでもファンの異常さはとどまる事は無くついに…
ポーリーの目玉をカッと見開いた目をドアップに映される凶行は、所謂ヤンデレの奔りであり、もうちょっと評価されてもおかしくは無いのだが、いかんせんアンソニー・ウォンの狂演には敵わない。
また、宣伝に虚偽が見られ、アンソニー・ウォンとポーリー・シュンが肉を焼くという劇中ではありえない姿が、ビデオのジャケットでも確認でき、そもそも、人肉饅頭ではなく嫁のチャーシューだ。
『八仙飯店之人肉饅頭3』
@駄作
本作は、複数犯を描いておりますが、全員罪が意識に耐え切れず完全犯罪目前で自白してしまうという、ある意味、3作中もっともリアリティがある題材である事意外、特に書くべき点は無く、第一作の功績と前作の変化球を一切踏襲していない代物。つまらないです。そもそも、人肉すら登場しないし。
2009年9月18日金曜日
溶屍鬼
@凡作だが、アルバトラスに騙された感で駄作な気分。
本作の解説文で「変態天皇」とアンソニー・ウォンに最高の褒め言葉を与えたアルバトラス。
しかし、この映画ではウォンさま、汚いおっさんで、コロンボの出来損ないで、刑事で、主演じゃありません。
主演で犯人は小奇麗なフランシス・ンさんでした。
で、溶けた屍は、冒頭でチラッとだけ出てくるだけです。
あと、裁判員制度が日本で採用されましたが、本作で裁判員が口をそろえて「めんどくせー!」「めんどくせー!」って、民度最低な日本人みたいな事いってました。
やばい、またネット右翼から不人気になるのだわ、私のブログ。
でも、ウォンさま凄いよね。
フランシスは劇中でオナニーしたり、不倫したり、たぼこ20箱要求したり、獄中結婚したりしたけど。
ウォンさま、下ネタ言った瞬間だけで、フランシスの50倍はキモイからね。
なんで私ってアンソニー・ウォンみたいな顔に生まれたのかしら?(実話)
なんでこのビデオを500円で買ったのかしら?(ウォンさまだから)
こんなレビューでいいのかしら?(裁判員制度だからって勧める程の映画じゃありません)
本作の解説文で「変態天皇」とアンソニー・ウォンに最高の褒め言葉を与えたアルバトラス。
しかし、この映画ではウォンさま、汚いおっさんで、コロンボの出来損ないで、刑事で、主演じゃありません。
主演で犯人は小奇麗なフランシス・ンさんでした。
で、溶けた屍は、冒頭でチラッとだけ出てくるだけです。
あと、裁判員制度が日本で採用されましたが、本作で裁判員が口をそろえて「めんどくせー!」「めんどくせー!」って、民度最低な日本人みたいな事いってました。
やばい、またネット右翼から不人気になるのだわ、私のブログ。
でも、ウォンさま凄いよね。
フランシスは劇中でオナニーしたり、不倫したり、たぼこ20箱要求したり、獄中結婚したりしたけど。
ウォンさま、下ネタ言った瞬間だけで、フランシスの50倍はキモイからね。
なんで私ってアンソニー・ウォンみたいな顔に生まれたのかしら?(実話)
なんでこのビデオを500円で買ったのかしら?(ウォンさまだから)
こんなレビューでいいのかしら?(裁判員制度だからって勧める程の映画じゃありません)
2009年9月7日月曜日
マーチ・オブ・ミッキー・ノックス
ぽくらの刑務所のリーダーは
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
ミッキー ミッキー・ノックス
お喋りキチガイ目立ちたがり
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
ミッキー ミッキー・ノックス
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
さあ叫べよ「ノックス夫妻」 へイ ヘイ ヘイ
みんなで楽しい暴動生中継
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
ミッキー ミッキー・ノックス
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
ミッキー ミッキー・ノックス
お喋りキチガイ目立ちたがり
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
ミッキー ミッキー・ノックス
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
さあ叫べよ「ノックス夫妻」 へイ ヘイ ヘイ
みんなで楽しい暴動生中継
ミッキー・ノックス ミッキー・ノックス
ミッキー ミッキー・ノックス
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