2010年6月2日水曜日

ブラッディ・ウェンズデー

@隠れた良作

実話を元にしたTVMで、銃乱射事件犯人の、悪夢・幻覚・孤独・不安などの心の病んだありさまを描ききった問題作である。

明らかな低予算作品だが、廃墟となったホテルのロケーションや、男の身の回りで起こる事象と、幻覚が入りみだる構成は秀逸であり、終盤では見てるこっちもその判断が困難になるほどだ。
男と、彼を介する観客にとって、おぞましい迷宮に迷い込んだような多大な不安を催す。
映画の半分以上は病んだ男の住むホテルでの密室劇だが、その迷宮の中で、男の心に静かな狂気が徐々に、徐々にと蓄積されていく。

特に秀逸なのは、幻覚として現れるベルボーイの存在感だ。彼は、犯人の分身なのかそれとも・・・・・・それも解らないままに、男はいよいよ、破滅に向かって本格的に病んでいく。そのありさまは、あまりに憐れだ。

この度のDVD化に際し、発売元はラストの銃撃シーンをスプラッターものとして売りにしているが、心理ホラーの秀作として強く押したい。

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