2010年6月5日土曜日

悪党図鑑「ナムル」



知力………8(機転・3 計画・5)「カニパンら少年の活躍が無かったら間違いなく勝っていた」
学力………7(文系・3 理系・4)「A級以上発明家免許を持っている可能性が高い」
技能………8(アナログ・4 デジタル・4)「暴走チップなどの設計能力から考慮」
武力………3(武器・2 格闘・1)「絵に書いたような知将」
生命力……10(肉体・5 精神・5)「心身ともに恐ろしい不死身ぶり」
政治力……10(指導・5 交渉・5)「権謀術数を使い、見事に会社内部を掌握」
権力………9(地位・4 影響力・5)「社長以上の発言力を持ち、彼が与えたロボットへの被害は十分深刻」
性質………8(度胸・5 冷酷・3)「人間には手を出さない。ただし二期では命と引き換えに母星を破壊しようとした。」
ルックス……5(美しさ・3 怖さ・2) 「良くも悪くもニヒルな二枚目」
カリスマ……7(オーラ・5 威圧感・2)「反ロボット派からは英雄・皇帝扱いされている」
ポリシー……10(信念・5 野望・5)「ロボットの意思などプログラムの数列に過ぎん!」
運…………10(チャンス・5 ピンチ・5)「後述するカニパンの存在以外は全てが上手い行っていた」

総合点95 総合評価・・・S

『発明BOYカニパン』時代
ロボットの叛乱、その脱構築であろうナムルは、意思をもつロボットと人間が共存するシャラク星において、「ロボットは人の下に道具であるべき」という信念の持ち主で、“なかよし回路”をもった思考型ロボットの絶滅を目論む。

秀逸なのはその手段で、所謂“悪の秘密結社”というものの実態を持たず、ロボット開発王手のエレックカンパニー社内に隠し部署を作り、ロボットの暴走を誘発する回路、その名も“暴走チップ”を発明。

その目的は、暴走によるロボットの破壊ではなく、「“なかよし回路”を持つロボットは暴走する」というネガティブキャンペーンを展開することであった。

やがて自身が、副社長に収まり、会社の全権を事実上完全に掌握すると、エレックカンパニーにおいてなかよし回路搭載ロボットの開発を完全に停止、さらに新型暴走チップを用いてネガティブキャンペーンを強化。街の公共用のロボットから思考型ロボットを追放する事に成功する。

ここまでは見事に主人公一向を欺き続け、ほとんど計画通りに“なかよし回路撲滅計画”を進めていた。しかし、社長の娘ミルクにその正体を露呈してしまう。

軟禁には成功するも、人間に対しては良心があり、口封じは出来ないと首をかしげていた所に、なかよし回路のリサイクル工場の位置を知る。
そこで、巨大移動要塞を使い、リサイクル工場の直接破壊を決行するが、主人公カニパンらの活躍により失敗に終わる。しかし、リサイクルに必要な材料Kリキッドの多くを駄目にしてしまう事に成功。
Kリキッドの再生の為に旅に出た主人公らの妨害を始めるが最終的には失敗。

逮捕されるが、脱獄。シャラク星から脱出した。

『超発明BOYカニパン』時代

時期は不明だが、その逃走過程で、シャラク星は、より人間に近いアンドロイドにより気象・環境がコントロールされていた事を知ると、「ロボットに支配され生かされてきた」と彼のプライドは許さず、シャラク星の創造主、タイシ博士をトレースしたアンドロイドを破壊、改造。その傀儡に収まる。
そして最悪の事態を考慮して作られた、シャラク星の心臓部を、避難用の新惑星に移動させる、“賢者のプログラム”を悪用し、その新惑星に「思考型ロボットの存在しない理想の帝国」を建造する野望を抱く。
そして暴走事件から5年後、同志を集い、惑星ナムル帝国計画を強行。

「暴走したタイシロボットが、ロボットの為だけの惑星を作り出し、なおかつ賢者のプログラムを発動」というシナリオを描き、脅えたロボット達が泣く泣く、人間を置いて新惑星に移動。しかし、ロボット達をそこで大量虐殺、「タイシロボットと、裏切りもののロボットたちはこのナムルが破壊した」と英雄談にした
挙句「賢者のプログラムは中止が不可能。ならばロボットの為の惑星を奪回し、裏切りもののロボットの存在しない理想郷を作るべき」と主張。
筋書き通り、新惑星に人々は大挙。パニックがピークになる。

ロボットはおろか、人の善意さえ信じないで混乱を嘲笑する有様は『ダークナイト』のジョーカーを先取りしたと言えば大げさだが、前作のように人間には手を出さないかった姿は既に無く。手段を選ばぬ非情の男と化している。新惑星では皇帝に納まり、なかよし回路不要論を絶対とする民衆の統率する気で居たと思われる。

しかし、カニパンらの攻防と、アンドロイドの一体であり、カニパンの恋人であるアンジェリカ(アン)が、新惑星に潜入。賢者のプログラムの中止に成功する。

五年越しの計画が破綻し自暴自棄となったナムルは、二人を新惑星の崩壊で道連れにしようと企むが失敗。いよいよ発狂すると、シャラク星の心臓部を、かつての暴走チップを模した小型宇宙船で攻撃。心臓部をメルトダウン状態にすると、自身もその衝撃波で命を落とした。

しかし、図らずとも強靭な生命力で生存。目を覚ました時には、カニパンら発明家の引き起こした大奇跡、シャラク星の復活を目の当たりにし愕然。挙句、自身の意思を取り戻したタイシロボに「あなたは悲しい人間だ」と、諭される。

しかし、彼は新天地を求めて、宇宙への放浪を開始した。奇しくもその日は、幼い頃から「タイシ博士のようにロボットと人間が仲良く暮らせる惑星を作る」という夢に向け、カニパン達が宇宙へ旅立った日であった……


文章にすると、とんでもない大悪党に思えるが、いかんせん小学生向けのキッズアニメの悪役なので大げさに暴れても、バイキンマンに同じくデフォルメされているので悪役としては怖さという物に欠けている。実際、書いてみて劇中の彼のズッコケと、計画の妙なリアルさの差には筆者が驚いてしまった。
そんなんだから、なかよし回路の撲滅を志した理由が、「家庭教師ロボットのスパルタに耐えられなかった」だもん。もっとも、親の愛情に飢え、ロボットとの友情を育む事ができなかったと約5秒ぐらいモノローグが入ったが・・・・・・
やや出来の悪い続編ではシリアスな秘密結社の親玉になっていたのでそのへんを掘り下げてさえいたら、もう少し面白かったかもしれない。

社長の娘、ミルクも手なずけようとも考えていたが、当のミルクはファザコンじみた我侭をカニパンにぶつけるようになっていた。
また、5年間越しの計画もカニパンと恋仲になったアンドロイドによって頓挫。
彼の計画が悉く破綻したのは主人公カニパンがモテた事に尽きる。

ちなみにナムルを慕っていた秘書は、実に頭が愉快な有様で、クールなナムルと良いコンビであった。

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