2010年3月21日日曜日

スーパーマグナム

@超快作

『狼よさらば』『ロサンゼルス』の二作はブロンソンのベストアクトにしばしば挙げられる。
妻子を蹂躙され悲しみ・怒りに支配された主人公ポール・ガーシーの孤独な無差別復讐劇は観客に強烈な印象を与えた。ガーシーの悲しみを深めつづける戦いに皆胸を打たれたことだろう。

本作『スーパーマグナム』は、そんな孤独な戦いを挑み続けていたポール・ガーシーを所謂バカ映画にシリーズをシフトチェンジした事で救った(?)映画である。
『ロサンゼルス』のラストの銃声。ガーシーがクライムハンターとして生きる覚悟を決めた事を暗示させていたが、本作において描かれるガーシーはプロのワンマン自警団云々というよりも、発狂したとしか思えない強烈な意志のありさまを見せつける。

NYに戻ってきたガーシー、しかし時はまさに世紀末(にしか見えない)。町のチンピラどもは『狼よさらば』時代以上に凶暴(というか頭が悪くなって)に暴虐の限りを尽くしていた。
ガーシーは誤認逮捕を経て、NYの治安回復に絶望を感じていた警察署長直々に悪党狩りの密約を結ぶ。
作中でガーシーはワンマン自警団として都市伝説状態で伝承しており、地元住民から期待されて迎え入れられる。

ガーシーは早速「友達のウィルディを呼ぼう」と、電話をかけると、後日、通信販売から.475ウィルディマグナムなる極殺兵器を購入-Purchase-
カメラや新車を囮にしてまで悪党を狩り殺しまくる。その様は満足な仕事ができた伝統工芸士のような表情である。果てに民家に罠まで設置。暴徒VSガーシーの戦いは激化の一途を辿り、ついに暴徒は、ガーシーを殺すためだけの暴走族連合を結成し、通り魔的に火炎瓶やら手榴弾やらで町中攻撃、女は犯され、家は燃やされる
そんな暴動状態のNYでガーシーは地元住民の朝鮮帰還兵が隠し持っていたM1919重機関銃なる最終鬼畜兵器を開放し、通信販売で追加購入したロケットランチャーなる獄滅極戮至高兵器をもってして、暴徒を圧倒的な弾幕で虐殺しまくる……

此処に来て御歳64歳(ブロンソンの年齢)ポール・ガーシーは哀愁など女々しいとばかりに、圧倒的な火力を躊躇なく噴射する危険極めた猛毒老人となっている。
実は殺人に快楽を見出してしまったのか?第一作で暗示されていた野獣の魂が目覚めきったのか?いずれにしろポール・ガーシーは悲しみを経てヒーローとなったのである。映画の出来が恐ろしく雑なのは認めるが、なんか素敵だ。本文、冒頭でバカ映画と形容したが、素敵な映画だと思うよ。俺は。

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