2010年5月6日木曜日

凶気の桜

@普通

本作なかなかセンスの光ったバイオレンス映画の怪作だ。窪塚を「イケメン俳優」とよいしょして、ヤンキーの青春映画を期待していた世間一般の評判は散々なのも納得だ。レイプなどドギツイ犯罪描写が続く上に、その被害者が所謂ヤンキーども。不良映画なら主人公サイドの筈だがこのバイオレンス映画で描かれるのは零細新興右翼ネオトージョーの不良狩りと、ヤクザとか殺し屋とかそんなんだ。

PVの手法を作中にふんだんに取り入れており、洗練はされていながともかくその大胆さは評価するべきだろう。冒頭の東映マークには引き込まれるし、ネオトージョー一派の不良狩りと私生活も、なかなか野蛮が伝わってくる。
窪塚君も「なに考えてるか解らないアブナイヤツ」としては能面ぶりでも納得の配役だ。

しかし、問題なのはストーリーが旧体系のヤクザ映画に従順すぎた事と、ヤクザと交流を深める内に信頼関係を築いてしまい、心身共に傷ついてしまうという難しい役どころを、窪塚が全然できていないこと。前半こそヤバイヤツでキマっていたが、後半は完全に能面だ。もったいない。

あと、スタッフロール後のオチ捻くれすぎ。全くの蛇足であり、本編ラストの余韻を自らの手で潰してしまっている。

(右翼だか、在日だかの描写にテーマ性が生かされていないという評価があるがこういうのは無視する。これ、そんな映画じゃねぇから。)

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