2008年12月6日土曜日

「ゴジラ」(84版)

9年ぶりの新作、SFブーム、米ソ冷戦期などなどの特殊な事情により、ゴジラシリーズとしても、怪獣映画としてもカナリの異色作となってしまい、賛否が現在も特撮オタクの間でやいのやいのうるさい事になっているが、私は異色作だからこそ本作に一票。

本作、大人向け(つまり一般大衆向け)のゴジラを撮ろうと奮起するあまりに、映画全体が終始暗い、冷たい、重い。三拍子の空気で構成されている。

しかし、これらは結果として、新生ゴジラに不気味さ、おどろおどろしさ、体重3万トンの重厚感を与えており、恐怖の象徴としての怪獣の二文字に相応しいものとなっており、その破壊描写もどこか陰惨だ。
怖いゴジラ単騎を描くのならばこういうのは全然アリだろう。

ドラマ面では、ゴジラが国際的問題として取り上げられ、核を使うか否かという論議にまで発展するなど政治戦略的な場面が盛り込まれ、逃げ遅れた主人公一向のゴジラの襲撃を受ける東京のビルからの脱出はゴジラの被害を被る個人を描いた試みも評価されるべきだろう。

ただ、良い所ばかりではない、都心へとゴジラを誘導する自衛隊。ゴジラが来てるのに運行する新幹線。核兵器を結局使うソ連など等、

撮りたい画の為に理性を失ったスタッフの暴走が伺える。

ただし、出来上がった映像は迫力満点。名場面の連発なので仕方が無い。
ただ、この辺の問題を解消していたならば娯楽作以上の評価を得ただろう。

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